以前から気になっていた店に、ようやく訪れた。
板橋区大山にある町中華の名店。「丸鶴」だ。
チャーハンが有名な老舗で、以前から、各種メディアにも数多く取り上げられていた。
とりわけ、2015年の「マツコの知らない世界」で《板橋しっとりチャーハン》として紹介されてから人気が爆発。
連日超満員の店になってしまった。
番組で紹介されたチャーハンがあまりに美味しそうだったので、僕もいつか行こうと思い、チャンスを狙っていたが、なんと、餃子がない!という情報を得て、一気に意欲が失せた。
もともとはメニューにあったようなのだけれど、テレビ出演によって多忙となったため(?)か、販売休止になってしまったのだ。
しかし、最近、SNSで、「金曜と土曜限定で餃子が復活している!」という情報を得た。
僕は、ちょうど金曜日に休暇がとれたため、「これは行くしかない!」と思い、訪問を決めた。
店頭には、看板メニューのチャーハンに加えて、「本日限定 餃子100食」の掲示がなされていた。胸が躍る。
さぁ、入店しよう!と思ったら、入口にあるこんな貼り紙が目に留まった。
店主からの【お詫び】だ。
テレビ出演直後は、行列が続いて、常連からクレームが出たのかもしれないなぁ…。
メディアの人気に流されず、常連を大事にしたいという、老舗のこだわりが感じられた。
僕は、そんなところもなかなかいいと思いながら入店。
開店直後の11時過ぎに訪れたにも関わらず、既に10人以上の先客がいた。
ただ、この店は45席もあるため、まだまだ余裕。
僕は、奥の席に案内され、ゆったりと腰を下ろした。
やおら、メニューを眺める。
ごく一般的な中華料理のメニューが並んでいるが、「チャーハン」の文字がない。
その理由は、メニューを裏返してみればわかる。
チャーハンだけは、別格扱いなのだ。
この店のメニューとしては、こちらの方が「オモテ」になるのかもしれない。
僕がメニューを眺めていると、店員さんが注文をとりに来た。
開口一番「今日は餃子がございます。」とのこと。
僕は一瞬、大いに戸惑った。餃子ランナーであることがバレたのかと思ったからだ。
いや。
バレても何も困らないし、むしろ嬉しいのだけれど、それは自意識過剰だった。
店員は、僕の斜向かいにいた客にも、「今日は餃子がございます。」と言った。
そう。
餃子は金曜土曜限定のメニューだから、店員は、入店客全てにそう尋ねているのだ。
僕は、チャーハンの種類選択で少し迷ったが、初回訪問だし、一緒に餃子も食べるし…と思い、ノーマルチャーハンを注文することにした。
ということで僕は、店員に「チャーハンと餃子」と告げ、それが登場するまでの間、店内を見渡していた。
ずらっと並ぶ有名人たちの色紙と写真。この店の歴史と人気を感じさせる。
この店は、元カリスマホスト城咲仁さんの実家だということで、店内には、城咲仁さんのポスターも掲載されていた。
僕が注文した料理は、それほど時間が経たずに、目の前へ運ばれてきた。
チャーハン&餃子の黄金コンビだ!
チャーハンは、ドーム型が崩れてしまっていて、ちょっと残念…と、一瞬思った。
しかし、その断面から豪快に顔を出すチャーシュー群を見て、僕は、「これを誇示するために、わざと崩したんじゃないか?」と思えてきたw
それぐらい、このチャーハンにはチャーシューがゴロゴロと入っていたのだ。
この店には、別途「チャーシューチャーハン」というメニューがあるが、普通のチャーハンでもこんなにチャーシューが入っているとなると、「チャーシューチャーハン」はどんだけなんだよ、と思った。
前述「マツコの知らない世界」では、チャーシューチャーハンについて、《チャーシューとご飯の割合が1:1》と紹介していたが、あながちそれも誇張ではない気がしてきた。
とりあえず、一口食べて見て、僕は、その旨さに痺れた。
いやぁ、なんという「濃い」味なのだろう。しっとりとした、つやつやのご飯は、塩胡椒がガツンと効いていて、ちょっと塩っぱいのだけれど、それがいい。実にいい。
噛みしめるたびに、ラードの味わいと謎の旨味が口内に溢れ、幸せな気分になる。
そして、ゴロゴロ入っているチャーシューがたまらない。実に柔らかく、ほろほろとしたチャーシューなので、いくらでも食べられる気がする。
僕は、チャーハンにそれほど詳しいわけではないが、これまで食べてきたチャーハンの中では、ナンバーワンクラスといえるものだった。
いやぁ、これは是非、他のチャーハンも食べてみなければ…と僕は思った。再訪決定だ。
そして。
金曜土曜のみ、100食限定のレアな焼餃子。
ちょっと焼きすぎな気もするビジュアルだけれど、僕は、カリカリ系の餃子が好みなので、これくらいならば許容範囲だった。
囓ってみる。
皮はもちもちカリカリで、食べ応えがある。その具は、肉の比率が結構多めだけれど、肉汁などは感じない。
どちらかと言えば淡泊な味と言えるが、濃厚なチャーハンのお供としては、ぴったりだ。
僕は、常々餃子にとって最強のお供はビールだと思っているのだけれど、この餃子は、チャーハンのお供として、最適化(?)されているような気がした。
この日、店内にいた客の殆どがチャーハンを食べていたが、そのうち半数ぐらいが餃子を注文していたことが、最強タッグの証明だろう。
ランチタイムは、アイスコーヒーの無料サービスまで提供される。
とにかく濃厚な味のチャーハンなので、食後には、アイスコーヒーがぴったりだ。
いやぁ、本当に僕は、このチャーハンが気に入った。
流石は、板橋しっとりチャーハンの名店として名を馳せるだけのことはある。
レタスチャーハンやエビチャーハン、そして、チャーシューチャーハンも食べて見たいので、近いうちにまた訪れるつもりだ。