なぜか、ビビッときた。
街頭に置かれていた、この案内看板の中に、「餃子」の文字はない。
しかも、僕は内臓類がまるで食べられないので、普段ならば、完全スルーの筈の店だ。
しかし、何だか妙に気になって、看板の反対側にある、店を見てみると…。
のれんに「餃子」の文字があるじゃないか!
あぁ、僕の餃子レーダーは、まだ錆びついていなかった。そう思った僕は、とりあえず店への階段を上ることにした。
階段の途中には…。
このような写真が掲示されていた。
ホルモン屋の焼餃子 六五〇円。
ちょっと高いような気がしたが、その美味しそうな写真を見たら、もう、後には戻れない。
入店。日曜の夜だというのに、店内は大賑わいで、人気店であることがわかった。
店のWebサイトによると、店内はこんな感じ。
カウンターの隅が1席だけ空いていたので、そこに座ると、いきなり僕の目の前に、火のついた七輪が置かれた。
基本的にこの店はホルモン焼きの店なのだから、ごく自然なことなのかもしれないが、僕は一瞬戸惑った。
前述させていただいたように、僕は内臓類がまるで食べられないからだ。
しかし、ここでひるんではいけない、と思い直した。
ということで、「餃子1人前ください」と注文。さらに、炭酸水を頼んだ。
もちろんビールでも良かったのだけれど、青空打ち上げ以降、ビールばかり飲み過ぎていたので、餃子とともに「スカッ」とできるなら、アルコールなしでもいいかなぁと思えたのである。
待つこと、10分程度。
餃子来たーーーっつ。
こんがりとよく焼けた、ボリュームのある餃子だった。
囓ってみると、肉汁が溢れた。
ホルモン屋の焼餃子…ではあるけれど、その肉はホルモンではなく、スタンダードな豚挽肉だった。*1
皮ももちもちで、とても美味しい。
餃子と一緒に、タレも運ばれてきたが、下味がしっかりついているので、タレなしでも十分美味しいと感じた。
美味しいなぁ、この店に出会えて良かったなぁ…と思いつつ、僕は餃子を1個1個味わっていると、店員から声をかけられた。
「あの…七輪は、お使いにならないでしょうか?」とのことだった。
どうやら、僕の隣のカウンター席が空いて、新しい客に変わったので、僕が使わないのなら、七輪を流用したいようだ。
僕は、ホルモンを食べないにも関わらず、目の前に七輪が置かれてしまっていることに、ちょっと引け目を感じていたから、渡りに船。
店員に不要であることを告げると、めでたく(?)七輪は隣へ移動。隣の客は、早速、その上でホルモン類を焼き始めた。
店内をあらためて見渡すと、一人客も、団体客も、皆、七輪の上で、楽しく焼肉を堪能している。
焼き餃子も看板メニューのひとつなのだし、餃子だけの注文はNGと書かれていたわけでもないのだけれど、僕の場違い感は半端じゃなかった。
僕は、できればもう餃子を1人前注文したかったが、流石にそこまで図々しくはなれず、長居して店の迷惑にならぬよう、これで退去することにした。
会計。
店員曰く…。「480円です。」とのこと。
これにはちょっと驚愕。ん?焼餃子は650円じゃなかったのか?炭酸水の代金は?と思ったが、間違ってはいないようだった。
店には、このような案内も掲げられていたからだ。
あの味、ボリュームで、480円ならば悪くない。しかも、炭酸水は無料、さらに内税。なんだかちょっと申し訳ないと思うぐらいの安さ。
ホルモン類も、安くて(きっと)美味しいのだろうから、繁盛しているのも当然だなぁ…と思いながら店を出た。
帰京後、店のWebサイトをつらつらと眺めていると、このようなページを発見。
ホルモンのタレで食べる餃子!
ならば、今回餃子と一緒についてきたタレは、ホルモンのタレだったのだろうか。
恥ずかしながら、僕は、それに全く気がつかなかった。餃子に下味がしっかりついていたため、タレをあまりつけずに味わってしまったが、ごく普通の酢醤油だったような気がしたんだけれどなぁ…。*2
そして、その価格を見てさらに驚いた。
6個480円…というのは僕が食べた価格と同じだったが、なんと、15個980円と併記されていたからだ。断然得じゃないか!
もしも再訪できた時は、15個注文しよう!と思いつつ、読み進めていくと…。
「冷めた餃子は七輪で」と書かれていて、膝を打った。
タレといい、七輪といい、まさに、ホルモン焼きとコラボレーションしている餃子なのだなぁと、感心したのである。
やっぱり、この店に行くならば、ホルモンを食べ、その旨みが溶け出したタレをつけて餃子を食べるべきなのだ。
そして、ホルモンと一緒に、七輪で餃子も焼くのが、ひとつの醍醐味なのだ。
今度この店を訪問するときまでには、ひとつくらいホルモン料理も食べられるようになるべく、特訓するかなぁ…。