北海道マラソン2018スタート直前。
気温は、24℃。
時折、強烈な日差しが照りつけてきてきて、体感温度は25℃以上になっていたのではなかろうか。
だから、待っている間はとてもきつかった。
しかし僕は、まさにこの暑さこそが北海道マラソンの醍醐味だと思っているので、走り始めればきっと快適に感じられる筈、と確信。
そして、実際、それはその通りだった。
最初の5km。僕は高揚感を感じながら走っていたし、どこまでもどこまでも続く給水テーブルに、今年も感動。
あぁ、これが北海道マラソンなんだ。道マラの魅力なんだよ!と思いながら、僕は、走り続けていた。
そして僕は、道中で、確かな復活の手応えも感じていた。
思えば僕は、昨年春の古河はなももマラソンまでは、サブ3.5ランナーだった。
しかし、それ以降発症した座骨神経痛で、ずっと苦しみ続けていたのだ。
昨年の北海道マラソンでは、なんとかぎりぎりサブ4を達成できたが、その後の「ベルリン⇒大阪⇒東京」は、いずれも4時間を切ることができず、水戸や別大に至っては、出走することさえ叶わなかった。
サブ3.5なんて、もう永遠に達成できないと思ったし、サブ4だって、今の僕には大きな壁だと感じた。
僕はもう、ガチに走れないランナーになってしまったのかもしれないなぁ…。あとはファンラン人生を生きるかなぁ…などという気分になることもあったほど。
だから、今回の北海道マラソンを、いつになく軽快に走れていることは、僕にとって至上の快楽だった。
さらに。
そんな僕を後押ししてくれたのが、気温。
僕のラン仲間たちは、「前半が暑かった」「湿度がつらかった」という声が多かったのだけれど、僕は、まったくそれを感じなかった。
暑いと言っても、例年の北海道マラソンに比べれば楽、という思いがあったし、とにかく水をかぶりながら走って、実に快適だったのだ。
中盤。
北海道マラソンのクライマックスとも言える新川通にやってきた。
往復15km超にも及ぶ直線走路が続く、ストイックさが試される場所だ。
大好きな北海道マラソンであっても、例年、僕はここで苦しんでいる。日差しを遮るものが何もないし、単調なコースなので、脳が飽きてしまうからだ。
風の影響を受けやすい、というのも大きな特徴。
ひとたびここで向かい風を受けてしまうと、ストレート走路ゆえに、いつまでも逃げられない。僕は、過去の北海道マラソンで、猛烈な風に心が折れた記憶があるし、油断は禁物。
そう思いながら、新川通を走り始めると…案の定、向かい風が吹いていた。
しかし。
それは、僕にとって、実に心地よい、爽やかな風だった。
新川通に入ってからは、日差しが全く影を潜めていたこともあり、猛烈な暑さは緩和。しかも、風は北寄りだったのか、吹きつけられると涼しさを感じるほどだった。
これならば、たとえ向かい風であっても心は折れない。
スピードが乗らないという点はあるが、元々僕はそんなにスピード不足なので、「心が折れない」ということの方が重要。
さらに大きなポイントは、《往路が延々と向かい風》ならば、《復路は延々と追い風》になる!ということ。
僕は、折り返してからは天国になるに違いないと思ったし、つらくなる後半で追い風が続くというのは、間違いなく好材料。
だから僕は、風に感謝しながら進んでいた。
25.5km地点の折り返しを過ぎ、さぁ、いよいよ追い風ゾーンだ!
…と喜んだものの、思っていたほど、僕は風を感じなかった。
沿道の幟などで確認すると、風は吹いているようだったので、追い風を受けていることは確かなのだけれど、身体に実感できるほどではなかった。
そのため、精神面でのプラスにはならず、これは、僕にとってちょっと誤算だった。
しかし、今回僕が、新川通の復路で失速しなかったのは、間違いなく、背中を押してくれた追い風のおかげ。
レース2日前。台風直前の未明。風を味方にする練習をしたことも、決して無駄じゃなかったなぁ…と思いながら、僕は走り続けていた。
その後はかなり疲れて、特に30km地点以降は時計ばかりをみていた記憶がある。
ただ、今回の僕はちょっと違う。
30kmに到達するまで、この1年では最もいい走りができていたため、それを無駄にしてなるものか、と、心が訴えていたからだ。
新川通を抜けてからは沢山の応援があり、北大構内の情景にも癒やされて、僕は何とか大きな失速なく、走り続けることできた。
そして。
フィニッシュ!
ネットタイムで3時間42分。
この1年間、サブ4さえもできなかったのが嘘のようなタイムだ。
今回は、僕にとって、気温と風が大いに味方してくれたと思うし、次も続いて記録を出せるかどうかは自信が持てない。
ただ、そんな弱気は心の敵になる。
だから僕は、これで、苦難の1年から《脱出》したのだと信じることにした。
それを確信にするべく、次走こそが、僕の本当の勝負。
気を引き締めて頑張りたい。