現在、将棋界におけるタイトル戦は、別格扱いとなる名人と竜王を頂点として、全部で8つ。
今回の王将戦が始まるまで、そのうち7つを、渡辺明名人(棋王、王将)と藤井聡太竜王(王位・叡王・棋聖)がわけあっていた。
だから、今回の王将戦は、「名人VS竜王」「三冠VS四冠」の対決。
いわば、将棋界のトップ2における大決戦と言えるものだったのだ。
今月3日に発売になった「将棋世界」でも、そんな2人にスポットを当て、速報記事として、第1戦に勝利した藤井竜王の姿を伝えている。
王将戦は、全七番勝負で、先に4勝した方が勝ち。
来月号の「将棋世界」予告では…。
王将戦七番勝負の第2~4局が掲載される予定となっており、その下には、《シリーズ中盤戦突入》と書かれている。
しかし…。
今回の七番勝負は、中盤戦にして終焉を迎えてしまった。
藤井竜王が、昨年7月の棋聖戦に続き、またまた渡辺明名人にストレート勝ちしたからだ。
渡辺名人は、前回の棋聖戦時点で、タイトル戦38回の出場を誇っていたが、それまでは、ストレートで負けたことはなかった。
しかし、藤井竜王に対しては、棋聖戦、王将戦と2回連続でストレート負け。完膚なきまでに撃破されている。
渡辺名人は、他の棋士たちに対しては、圧倒的な強さを発揮しているだけに、これはもう、藤井竜王の強さが《異次元すぎる》ということだろう。
藤井竜王は、王将位の獲得により、史上最年少、10代での五冠王になった。
将棋界の長い歴史の中で、五冠王を獲得したのは…。
- 大山康晴十五世名人【永世十段・永世王位・永世王将・永世棋聖】
- 中原誠十六世名人【永世十段・永世王位・名誉王座・永世棋聖】
そして。
- 羽生善治九段(永世七冠資格者)【永世竜王・十九世名人・永世王位・名誉王座・永世棋王・永世王将・永世棋聖資格者】
の、たった3人だけ。
このメンバーの中に、デビュー以来まだ5年しか経っていない藤井竜王が加わったのだから、凄すぎる。
羽生善治九段は、五冠にとどまらず、史上初の七冠王にもなっており、かつ、永世七冠の称号も手にしている。
将棋界に《羽生超え》はあり得ないのではないかと思われていたけれど、藤井聡太はその歴史さえも変えてしまうかもしれない。
数年前、新タイトルである叡王位が誕生し、将棋界のタイトルは7つから8つになった。
藤井聡太竜王には、史上初、前人未踏となる八冠王の可能性があり得るからだ。
なんと言っても、まだ19歳。
まだまだ成長する筈なので、いったいどこまで強くなっていくのか、興味は尽きない。