先月中旬。
僕は、猛烈な歯痛に襲われて歯科を訪れた。
診察に入ると、すぐにX線撮影が行われ…その結果を見た先生から、ショッキングな発言を受ける。
「左の奥から2番目の歯の骨が欠けているので、すぐにでも抜いた方がいい。」
と言われたのだ。
抜歯後の処置についての発言も衝撃的だった。
両脇の歯を使って、ブリッジという手法もとれなくないが、その両脇の歯も健全とは言い難く、お薦めではないと言う。
それで先生は、さらにこう言い募った。
「右の奥歯も、非常に具合が悪いので、一緒に抜いてしまいましょう。そうすれば奥歯を結ぶ形の、安定した入れ歯がかけられます。」
安定した入れ歯…。
どうやら、こんな形のものを口の中に入れることになるらしい。
僕は、あまりのショックで、すぐに決断ができず頭を抱えた。
そもそも入れ歯が前提というのがショックだったし、今は痛くない右の奥歯まで抜くというのが、どうにも釈然としなかったのだ。
そんな僕を見て、先生は優しい口調でこう言った。
年齢を重ねると、奥の方から歯がなくなってくるのは、仕方のないことなんですね。
そんなことを言われても…。
歯科の診療では、抜歯は日常茶飯事のことなのだろうけれど、僕にとっては一大事。
抜歯で失った歯は、もう二度と戻ってこないので、そんな簡単に決断できるわけがない。
右奥歯の方は、ブリッジという手法はとれず、抜歯後、入れ歯にするしかないという。
どうせ入れ歯にするのならば、左の奥歯と合わせた部分入れ歯を作ってしまいましょう、というのが先生からの提案だったようだ。
しかし僕は、やっぱり決断できなかった。
ということでその日は、応急処置だけにとどめ、痛み止めをもらって診療を終えた。
その後も、毎日、僕は歯痛との戦いが続いた。
先生からは、「あまり放置すると、腫れ上がって悪化し、抜歯もしばらくできなくなります。」と脅されていたため、僕は本当に悩んだ。
もう10年以上通い続けている歯科で、ある程度信頼もしていたが、僕はやっぱり抜歯したくなかったので、Webを検索。
《抜かない治療》で定評がある歯科を予約し、セカンドオピニオンを求めた。
しかし…。
そこでの診断結果も、僕にとっては衝撃的なものだった。
僕の奥歯は、もう救いようがなく、「抜くことが大前提」で、「放置しておいても悪化するだけ」と言われてしまったのだ。
今は痛くない、右奥歯の状態も相当悪いらしく、こちらも早めに抜いた方がいいと言われた。
そして、かかりつけ医の言葉をなぞるように、「抜歯後、奥歯同士にひっかける部分入れ歯が、一番現実的」とまで言われ、僕にはもう、退路がなくなった。
ただ、抜歯後の処置は、入れ歯だけではないという示唆も受けた。
先生曰く、「保険診療外だが、インプラントにすれば安定する」とのこと。
しかし、その費用が半端なく、なんと1本40万円超。
奥歯2本で、驚くなかれ80万円超だ。
いやはや、これもまた簡単には決断できない。
そのため、しばらく頭の痛い日々が続いていたのだけれど、左奥歯の痛みがさらに激しくなり、鎮痛薬でも抑えられなくなってきたため、今月初旬、ついに…。
左奥歯を抜歯…orz
今は、その部分がぽっこり穴のあいたような状態になっていて、違和感が半端ない。
抜歯後はしばらく様子を見る必要があり、先生曰く、「1ヶ月ぐらい経って、奥歯周りの状況が安定したら、また来てください」とのことだった。
だから僕は、日々違和感を覚えながら逡巡を続けている。
人生初の入れ歯を作ることになるのか、右奥歯はどうするのか、莫大な出費をして、インプラントを行うという選択肢もあるのか…等々について、大きな決断をしなければいけないからだ。
あぁ、悩ましいなぁ…。



