今朝。
アレクサは、朝の挨拶とともに、今日が《電子書籍の日》だと呟いた。
おはようございます。
今日は「電子書籍の日」です。2011年の今日、電子書籍のサービスが始まったことに由来します。
分厚い本も、電子書籍だとコンパクトに持ち運べるのがいいですね。
おいおい、アレクサ。
この画像のどこが電子書籍なんだ?電子メモ帳の間違いなんじゃないか?w
著作権の関係とかいろいろあって難しかったのかも知れないが、もう少し頑張って欲しかった。
電子書籍に関する説明も不満。
2011年の今日は、「株式会社BookLiveが日本で電子書籍サービスを始めた日」であったに過ぎない。
電子書籍自体は、1970年代から始まっており、CD-ROM媒体による書籍が話題になったこともあった。
1995年には、『新潮文庫の100冊』CD-ROM版も発売されているので、意外とその歴史は古い。
とはいえ。
電子書籍が本格的に普及し始めたのは、確かに、2011年頃からだった。
スマートフォンやタブレットの浸透とともに、「誰でも電子書籍を持ち歩ける時代」が始まったのだ。
翌2012年にamazonのKindleが日本に上陸して以降、電子書籍は大幅にその市場を拡大していく。
2011年度、電子書籍市場の売上は、651億円だった。
しかし、それからわずか10年後の2021年度には、その9倍にも及ぶ5,500億円にまで成長している。
同年、紙の出版物の推定販売金額は1兆2,080億円。
それと比べると、半分以下の数値ではあるけれど、しかし、歴史を考えると衝撃的だ。
紙の本の誕生は、遙か昔、グーテンベルクが活版印刷術を発明した1,450年頃に遡る。
紙の本が、500年以上かけて築き上げてきた出版市場。1兆2,080億円。
しかし、電子書籍は、参入わずか10年で5,500億円まで伸びているのだから、恐るべき伸長率だ。
あと数十年後…いや下手をすれば10年後には主客が入れ替わっていても不思議はない。
ただ、その内訳をみると、そう単純な話ではないようにも思える。
現状、電子書籍の9割はコミックだからだ。
2013年度からの伸び率で見ても、コミックが7倍弱になっているのに対して、「文字もの」は3倍程度。
文芸書や実用書などにおいては、まだまだ、紙の方が圧倒的な占有率を誇っている。
いったいその原因は何だろう…?と考えてみた。
ひとつは、電子書籍に否定的な立場をとっているベストセラー作家が少なくないことだった。
ただそれも、すこしずつ潮目は変わってきている。
過去の大ヒット作品に限るものの、東野圭吾作品も電子化されるようになってきたし…。
村上春樹作品も次々電子化。
4月に発売される待望の新作も、紙の本と電子書籍が同時発売される。
ただ、ここで僕は大きな不満を感じている。
紙の本と電子書籍が「同価格」だからだ。
この本に限らず、こと新刊の文芸書に関して、電子書籍の価格は、ほぼ、紙の本と横並びになっている。
僕は、なぜなんだ?と思わずにいられない。
紙の本が書店に並ぶまでには、出版社→取次→書店の流通コストがかかっているし、オンライン書店であっても、発送コストが必要となる。
もちろん、紙代なども価格に反映されている筈。
しかし、電子書籍の場合は、そういったコストは一切かかっていない。在庫リスクもない。
なのになぜ、紙の本と同価格になってしまうのか。
もちろん、電子書籍にもコストがあることは理解している。
電子化費用や権利の問題、管理費やサーバー維持費(?)など、紙の本にはないコストが意外に嵩むのかもしれない。
それにしても…。
やっぱり紙の本と同価格というのは不満。
電子書籍は、紙の本と違って、購入者がそのコンテンツを所有できるわけではないからだ。
あくまで「払った金銭の対価として、閲覧権が付与される」だけ。
その電子書籍を提供しているサービスが終了したら、コンテンツも読めなくなってしまう。
そんなリスクを抱えているにも関わらず、読み終わったら売ることだってできる「紙の本」と同価格というのは、どう考えても間尺に合わない。
電子書籍は、紙の本と異なり、再販制度が適用されないため、値引きは自由。
だから、ある程度の時期が過ぎると安くなることが多いし、キャンペーンも頻繁に行われている。
奇しくも、現在amazonでは、大規模なマンガキャンペーンを実施中だ。
そしてこれが電子書籍の大きなメリットだと思う。
しかし、派手なコミック部門のキャンペーンに比べて、文芸書部門はどうにも弱い。
ことに、新刊発売時の「紙とほぼ同価格」という現状が変わらない限り、なかなか、本格的な普及というのは難しい気がする。
まぁ、色々と複雑な大人の事情があるということは想像できる。
ただ、電子書籍がネクストブレイクするためには、この「新刊価格の壁」を突破する必要があるのではないかと思う。