小田急線の豪徳寺駅から徒歩約5分。
夕刻の開店時刻である17時直後に、僕は、目的の店へ辿り着いた。
店の名前は「代一元 山下店」。
「代一元」という名前で、都内に系列店がいくつかあるが、そのメニューは、店によってかなり異なるようだ。
この店の名物は、店頭の派手な《のぼり》が示すとおり、餃子。ギョーザ。
まさしく僕は、それを楽しみに訪れたのである。
店内は、テーブル3つの12席と、カウンターが11席。
僕が入った直後は、まだ空席があったけれど、 あっという間に埋まって、外には行列までできていた。
店の電話は鳴り続け、テイクアウト客も頻繁に訪れていた。地元の超人気店だ。
僕は、カウンターに座り、やおらメニューを眺める。
メニューは両面印刷となっており、その片面は、食事系。
入口の暖簾で、《中華そば 代一元》と謳うだけあって、麺類のラインナップが多彩だ。
焼きそばが4種類あったり、半分メニューが多数用意されていたりするのが特色で、定食や丼ものも充実している。
ただ、僕はがっつり食事という気分ではなかったので、ひっくり返して裏面を見る。
一般料理とおつまみ、お酒のメニューだ。
そのトップに書かれているのは、《半ギョーザ・3個入り》。
それに続いて《ギョーザ・5個入り》と書かれており、餃子推しであることが明白。
いや。
この店においては、《餃子推し》ではなく、《ギョーザ推し》と表現するべきなのだろう。
いずれしても僕は、3個で満足できる筈はないので、レギュラーの5個を注文。価格設定も、5個の方が若干お得だ。
飲み物は、スーパードライの中ビン。
ギョーザが出てくるまでのアテとしては、三点盛り(ねぎチャーシュー、メンマ、搾菜の浅漬け)を選んだ。
ビールはすぐに出てきたのだけれど…三点盛りがなかなか出てこなかった。
店は満員状態で、テイクアウト対応も行っていたため、ある程度時間がかかるのはやむを得ないと思う。
でも、おつまみなんだから、ビールがぬるくならないうちには持ってきて欲しいなぁ…と考え初めていた頃、それは出てきた。
うわっ。
…と、僕は声を上げそうになってしまった。凄いボリュームだ。450円でこれはかなりお得。
この内容なら、ある程度時間がかかってもしょうがない。
僕は、そう納得し、待たされたストレスが一気に吹っ飛んでしまった。単純なものだw
チャーシューはそれほど多くなかったけれど、葱も、メンマも、搾菜も、たっぷり。
それぞれ濃いめの味つけが、ビールのアテには絶好で、僕は大いに満足した。
そんな料理を味わいながら、僕は、ゆったりと、主役であるギョーザの登場を待っていた。
厨房では、次から次へとギョーザが焼き上がっていたが、それは先に入店していた客のものだったり、テイクアウト客用だったりして、なかなか僕の目の前には運ばれてこなかった。
何しろ、この店を訪れる人の、ほぼ全てが餃子を注文しているのだ。焼いても焼いても終わらない。
入店してから20分ぐらい経った頃だったろうか。
ついに、ようやく、僕が待ち侘びていたものが、眼前にやってきた。
ギョーザだ!
ぷっくりとした、ボリュームのある筐体は、それが手作りであることを裏付ける。
その焼き色も、実に美しい。
ヒダも完璧。
食べる前から、美味しさを保証してくれるようなギョーザだった。
そんなギョーザの登場を待ち侘びていたのは、僕だけじゃない。
ギョーザにとって最強の相棒も、ツーショットを楽しみにしていた。
だからもちろん、その写真を残しておく必要がある。
ギョービーだ!
あぁ、なんて幸せなんだろう。
このツーショットを見ているだけで、僕は幸せな気分になる。
しかしもちろん、本当の幸せは、食べて味わってこそ得られるもの。
ということで、いざ、僕はそれを囓ってみると…。
なんという超汁!
僕の口内に、とびきりジューシーな味わいが溢れた。
肉汁…というのとはちょっと違う。肉と野菜の味わいが、濃厚なスープに包まれて、一気に押し寄せてくる感じ。
これは、かつてない超汁感だ。
肉も野菜も、丁寧に粗く刻まれているため、その食感もいい。
皮はカリカリもちもちで、ボリュームたっぷりの具をしっかりと受け止めている。
バランスのとれた、実にレベルの高いギョーザで、流石、来店客誰もが注文するだけの人気メニューだけあると思った。
僕は、結構お腹が膨れてしまったのだけれど、それでも「おかわり」をしたくなったほど。
この日は、外に行列も出来ていたほどだったし、また20分待つのもなぁ…と思い諦めたが、また、機会があれば是非訪れたい店だ。