鑑賞予定は、全くなかった。
僕は、ボクシング映画に興味がない上、「ロッキー」シリーズも殆ど見たことがなかった*1からだ。
しかも、今回の「クリード 炎の宿敵」は、シリーズ第2作。
第1作である「クリード チャンプを継ぐ男」は、劇場で、予告編を何度も見た記憶がある。
その冒頭では…。
あの永遠の名作〈新章〉始まる
と謳われ、ロッキーシリーズとの繋がりを示すシーンがあちこちに登場。
スタローンが、《過去の栄光を背負った老人》的な位置づけで、関わってくる。
あぁ、これは、「ロッキー」ファン、スタローンファンのための映画なのだと思い、僕は興味を失った。
そんな第1作も見ていないのに、第2作を見る理由がない。
だから、もちろん完全スルーの予定だった。
ところが…。
僕が非常に信頼している映画通の友人から、今、一番のオススメ映画と推奨され、心が揺れる。
友人も、僕と同様、ボクシングには全く興味がなく、しかも、ロッキーシリーズも未見なのに楽しめたとのこと。
僕は、「ボヘミアン・ラプソディ」も、「カメラを止めるな!」も、公開早々、この友人に激賞されて見に行った。
その結果、僕の《2018年版映画ベスト》1位と2位を獲得したことをは記憶に新しい。
ならば今回も、きっと信頼できる、筈。
ということで、僕は、この映画を見に行くことに決めた。
その友人からは、 「ロッキー」は見ていなくても大丈夫だが、「クリード」の第1作は見ておいた方がいい。というアドバイスをもらったため、Amazon Prime Videoでレンタルして鑑賞。
前述の通り、僕はボクシングに興味がないため、前半のボクシングシーンは、ちょっとついていけなかった。
また、ロッキーシリーズに関わるエピソードもよくわからなかったので、「うーん、やっぱり厳しいかなぁ…」と思った。
しかし…。
物語が進行し、途中で、ロッキー(スタローン)に関する衝撃の事実が発覚してからは、ぐいぐいのめり込んだ。
主人公アドニスの恋人や母親との関係も含め、これは単なるボクシング映画じゃない、人間ドラマを描いた映画なのだ、と感じてからは一直線。
クライマックスのボクシングシーンでは、固唾を呑んで見てしまうほど。
いやはや最高に面白い映画じゃないか、これは!
という余韻を引き摺りながら、僕は、劇場に向かった。
今回の作品は、予告編さえも見ていなかったため、僕は、そのポスターを見てちょっと驚く。
『ロッキー4/炎の友情』を受け継ぐ、息子同士の宿命の戦い
というキャッチコピーがついていたからだ。
前述の通り、僕は「ロッキー」シリーズ未見であり、『ロッキー4/炎の友情』は、そのタイトルさえも初耳状態。
それで、映画の内容についていけるのだろうか…。
大きな不安が、心によぎった。
しかし。
それは全くの杞憂だった。
今回も、実に素晴らしい人間ドラマを、僕は思いっきり堪能した。
第1作でも感じたことだけれど、これは、ボクシング映画なんかじゃない。ボクシングを題材にした、奥深い人間ドラマを描いた作品なのだ。
こういった作品に、僕はとても弱い。
友人の言葉通り、「ロッキーシリーズを見ていなくても」「ボクシングに興味がなくても」この映画は、十分に面白く、楽しめると思った。
ただ、アドニスの、そして、ロッキーの心に去来する、さまざまな葛藤を理解する上で、第1作は絶対に見ておいた方がいい。
そして。
その鑑賞後は、『ロッキー4/炎の友情』を、何が何でも見たくなる。
だってそうだろう。
その作品を未見でさえ、これだけ面白かったのだから、繋がりを理解した上で見れば、なお面白いに決まっている。
まずは、第1作目の「ロッキー」から順番に見て、見終わったら、また、クリードシリーズを、新たな気持ちで堪能したい。
パンフレットも、もちろんゲット。
その写真を見ていると、映画の感動が甦ってくる。
出演者たちのインタビューや、制作秘話、評論もたっぷりで読み応え十分。
もちろん、『ロッキー4/炎の友情』のエピソードも書かれていて、実に興味深い。
「ロッキー」シリーズを見終わってから読むと、感慨もひとしおだろう。
僕はそれが楽しみで仕方がない。
*1:第1作目だけは、遠い昔にレンタルして見たような気もするのだけれど、すっかり忘れている。