先週末の日曜日。都心は、久々に晴れて暑い1日になった。
僕は、まだ涼しかった早朝に、都立城北中央公園で、ぐるぐるマスクランを敢行し、その後は、しばらく家でまったりとしていた。
読みたい本もたまっていたので、午前中は家でのんびりしていようかとも思ったが、やっぱり出かけることにした。
折角の休日。折角の好天。家でじっとしているのは、あまりにもったいない。
ということで僕は、かねてから気になっていた店を訪れるため、家を出た。
僕が降り立ったのは、中央・総武線の西荻窪駅。
都内有数の人気スポットである吉祥寺の隣。休日ダイヤでは、中央線快速列車にスルーされてしまうという「地味」な駅だ。
しかし、そんな街だからこそ、地元に根付いた素晴らしい町中華が存在している。
駅の南口を出て…。
短い商店街の「仲通街」を抜ける。
そこから先は、細い住宅街をまっすぐ進んでいく。日差しが強くて、かなり暑い。
5分ぐらい歩いたところで、その店は、突然姿を現した。
店の名は、ちんとう。
入口には看板も暖簾もなく、店舗の脇に小さな立て看板があるだけ。
扉も曇りガラス仕様になっているので、ぼんやり歩いていると見逃してしまいそうだ。
しかし先週は、時節柄、入口の扉が開け放たれていたため、気楽に入店することができた。
店内はテーブル席のみで、16席程度。
運良く、小さいテーブルが1つだけ開いていたので、僕は、そこに腰を下ろした。
テーブル上にあったメニューを眺める。
何はともあれ、もちろん餃子だ。
「焼き餃子」「水餃子」「スープ餃子」の3種類があったけれど、この3択ならば、最初に注文するのは、「焼き餃子」と決めている。
そしてもちろん、ビールも注文。
僕は、それを美味しく飲むために、暑い日差しの中を歩いてきたのだ。
ビールを注文すると、店のおかみさんが、「ビールは餃子と同時にお出ししますか?」と聞いてくれた。その心遣いが嬉しい。
僕は、ビールのアテを別途注文しようかとも思っていたが、今回は餃子を待つことにした。
焼き上がりまでの間、僕は厨房を眺めていた。
この店の看板メニューは、餃子とチャーハン。
僕以外のテーブルに座った客は、皆、チャーハンを注文していたため、厨房の奥では、ひっきりなしに鍋が振られていた。
待つこと10分程度。
焼き餃子がやってきた!
iPhone SEと比較すると、こんな感じ。
餃子のサイズとしては、ごく標準的といったところだろうか。
僕は、このぐらいのサイズの餃子が結構好きだ。
餃子と同時にビールも登場していたので、僕は、まずビールで喉を潤してから、餃子を囓ってみる。
おぉ!
と、思わず叫びたくなるような旨さ。流石は看板料理だ。
西荻窪まで遠征してきて良かった。僕は、心からそう思った。
その具は、実に丁寧に刻まれており、肉の旨味と野菜の味わいを、しっかり引き出している。そして、それを包容するカリカリの皮が、これまた素晴らしい。
実にバランスのとれた、手作りの優しさを感じる餃子だ。
下味はそれほどついていないが、そのまま食べても素朴に美味しいし、オーソドックスな酢醤油も合う。
そしてもちろん、ビールとの相性も抜群だ。
まだまだお腹には余力があったので、僕は、これをもう1人前注文しようか、それとも、水餃子を注文しようか、ちょっと迷った。
しかし…。僕は心を変えた。
餃子とともに、この店の看板料理になっているチャーハンが、どうにもこうにも気になったからだ。
僕は、通常、「餃ビーとご飯モノは両立しない」と考えているが、この日は、自分の禁(?)を破ることにした。
周りじゅうのテーブルで、皆がそれを美味しそうに食べていたし、厨房の様子を見ていたら、どうにもこうにも我慢ができなくなったのである。
チャーハンは、5種類。
ノーマルなチャーハンは3種類のサイズが用意されており、流石は看板料理、という気がした。
僕は、かにとえびの選択で迷ったが、どうにも決められなかったので、五目を注文w
餃ビーを味わいながら待っていると、満を持して、それが登場した。
外見的な派手さはない。
うずらの玉子が乗っているのが、ちょっと変わっているとも言えるが、実にオーソドックスなチャーハンだ。
900円という値段も、五目炒飯としてはちょっと高めなので、僕の期待値ハードルは、かなり上がっていた。
まずは、何はともあれ、レンゲですくって食べてみる。
おぉ!
またしても僕は叫びそうになってしまった。餃子ももちろん美味しかったが、それを超える衝撃。
一見地味なビジュアルなのに、一口食べただけで、口の中に幸せが満ちあふれた。
カニ、チャーシュー、かまぼこ、椎茸、メンマ、葱、グリーンピース。
具材のひとつひとつが、しっかりと絶妙なバランスで配置されていて、どれもこれもが全て美味しい。まさにこれは五目の名にふさわしいチャーハンだ。
ご飯のパラパラ感も最高で、いやはやこれは気に入った。
自分の《禁》を破って注文した甲斐がある、絶品チャーハンだと思った。
この店は、隠れ家的なロケーションがいいし、店内の雰囲気も温かく、居心地も最高。
僕が食べている間、近所の人たちが何人も訪れて、テイクアウトをしていたので、まさに、地元に根付いた町中華の名店だと思う。
水餃子やエビチャーハンなども食べてみたいので、是非とも再訪したい。