昨晩は、特別な夜になる筈だった。
2025年11月5日。22時19分。
今年、地球から最も近い位置となる満月。スーパームーン。
22時を待たずとも、夕方の空にその姿を見つけた瞬間から、圧倒的な大きさを感じられる。
そんなドキドキを与えてくれる夜になる筈だった。――天気さえ良ければ。
しかし、あいにく東京の空は、分厚い雲に覆われ、スーパームーンは、その向こう側に隠されてしまうことになった。
なんとも無念だ。
僕は、月をこよなく愛していて、このブログでも、月の写真を何度も掲載してきた。
しかし、スーパームーンを綺麗に撮れたのは、2017年だけ。
この年は、40倍ズームを誇るデジカメ、PowerShot SX720 HSが、まだ健在だったので、こんな僕でも簡単に綺麗な写真が撮れたことを思い出す。
その後も、毎年、スーパームーンの日は可能な限り撮影を行っていた。
けれど、2017年を超えることはできなかった。
天候が悪かったり、タイミングが合わなかったりして、全く撮れない年もあった。
だからこそ、今年こそは――と思っていた。
もちろん、超高倍率のデジカメがあれば理想だったけれど、今の僕にはそれがない。
ただ、「カメラスマホ」として信頼している Xiaomi 15 Ultra で、どこまで月に迫れるか試してみたかった。
望遠は光学4.3倍。月を撮るには心もとない倍率だ。
けれど、このスマホには 《スーパームーン》モード という必殺技がある。
これを使うと、僕のような素人でも、驚くほど美しい月が撮れてしまうのだ。
その威力は、以前の記事でも紹介させていただいている。
満月そのものは逃しても、十六夜の月で《スーパームーン》モードの実力を実感した。
ほぼ満月というぐらい月でも、これだけ綺麗に撮れるのだから、その名もズバリのスーパームーンの日に、月を撮影しないなんてあり得ない!と、僕は大いに意気込んでいた。
ところが、撮影日前日になって、僕は驚愕の情報を目にした。
このモードで撮れる「月」は、AI補正で生成された“仮想の月”らしい。
ということだ。
カメラに詳しい方々からの情報だったので、おそらくそれは正しいのだろう。
まぁ、よく考えてみれば(考えなくても?)光学4.3倍の望遠性能しかないのに、あんなに綺麗な月が撮れる筈はないんだよなぁ…。
ただ、僕は思い直していた。
それでもいいじゃないか。
スーパームーンを、その名の通り、最高のスーパームーンにしてくれるというなら、AIの腕を確かめさせてもらおう。
本物のスーパームーンとは呼べなくても、そのエッセンスを生かして伸ばしてくれている筈だから、それを楽しませてもらえば十分だ。
……と思っていたのになぁ。
そんな僕の夢は、分厚い雲に阻まれて潰えてしまった。
流石のAIをもってしても、雲の向こうに隠れたスーパームーンを補正再現することはできないからだ。
いや。
もちろんAIならば、たとえ目に見えなくても、簡単にスーパームーンを描きだすことはできるだろう。
将来的には、そんな機能を搭載したカメラスマホが登場しても、まったく不思議じゃない。
しかし、そこまでいったらもう世も末。
そんなものは「撮影」でもなんでもなくて、単なる「捏造」じゃないかw



