雲ひとつなく、晴れ渡った空。
僕は、いつものグラウンドに佇みながら、複雑な思いに駆られていた。
まるで昨日の台風が幻だったかのような、穏やかな朝。しかし、勿論、幻なんかじゃない。
この公園に向かう道の途中にも、その爪痕は残っていた。
自転車やカラーコーンが倒れていたり…。
わけのわからないものが散乱していたりもした。
商店などには、あまねく、「台風のため休業」の貼り紙が貼られていた。
24時間、年中不眠不休の筈のコンビニまでも閉まっている。
いやはや、やっぱり、もの凄い台風だったのだ。
城北中央公園に着く頃には、朝の日差しが眩しく煌めいていた。
いつものように、僕のホームコースと言えるグラウンドに入る。
コースでは、一部、水たまりが残っていたところもあったけれど、問題なかった。
僕は、無事にランニングができる幸せを噛みしめながら、走り出す。
いつものように、400メートルトラックを、たんたんと25周。
やっぱりたいしたスピードは出せないけれど、ただ、走れるということだけで、僕は十分だった。
今回の台風は、とにかく被害が甚大で、川の氾濫により、泥だらけになってしまった街もある。停電で身動きのとれない家もある。
被災した方々にとっては、「走る」なんて、あり得ないような状況なのだ。
コースをぐるぐる回りながら、僕はそのことを思い、心が痛んだ。
台風の被害がこれ以上広がらないよう、そして、被災した方々が、一刻も早く、日常の生活に戻れるよう、祈りたい。