昨日は、「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」の決勝戦が開催された。
これは、選抜されたトップ棋士12人によるトーナメント戦で、タイトル戦ではないものの、優勝賞金は500万円と高く、1980年から続いている伝統の棋戦だ。
昨年は(当時)豊島竜王が優勝。
豊島JT杯覇者は、今年、広瀬九段、渡辺名人を下し、決勝に進出。連覇の権利を得た。
しかし、その対戦相手が、藤井竜王(叡王、王位、棋聖)だったため、その心境は複雑だったろう。
今年の7月以降、藤井竜王には、苦杯をなめさせられ続けてきたからだ。
王位戦、1勝4敗で奪取失敗。叡王戦、2勝3敗で失冠。
そして、竜王戦。0勝4敗のストレート負けで失冠。
ついに無冠となってしまった。
そんな状況で、またまた藤井竜王と対決。
しかも、連覇がかかる大一番なのだから、精神的には相当きつかっただろうと思う。
しかし、豊島将之JT杯は強かった。
早指し戦とはいえ、藤井竜王の一瞬の緩手を見逃さず、攻め込んで圧勝。
強烈な攻めと正確な守りで、大会2連覇を達成した。
試合後の記者会見では、心ない記者たちは、豊島JT杯に対し、タイトル失陥の話や、対藤井戦連敗の話などを蒸し返したので、僕は非常に不愉快な気持ちになった。
しかし、豊島JT杯は、冷静に、真摯に受け答えを続ける。
会見後の撮影会でも、記者からの要望に応えて、ガッツポーズや、Vサインならぬ2連覇サインを披露。
笑顔こそなかったものの、毅然とした表情は、豊島JT杯らしさを感じさせた。
現在の将棋界において、藤井竜王(四冠)が、トップであることは間違いないが、ライバルがいないと盛り上がらない。
藤井-豊島対決は、今後もまだまだ続く。豊島JT杯の逆襲に期待したい。