とにかく明るい安村=Tonikaku(愛称トニー)は、準決勝の舞台で苦杯を喫した。
とはいえ…。
世界的に有名な英国のオーディション番組「Britain's Got Talent(BGT)」で、準決勝進出しただけでも、芸人としては大きな勲章。
唯一無二の芸は、世界的に大きなインパクトを残したし、これ以上続くとネタ切れの心配もあったので、僕は、これで十分だろうと思っていた。
ところが…。
トニーの夢は終わっていなかった。
なんと、ワイルドカードと呼ばれる敗者復活枠で復活。
決勝進出者10人に加えて、特別枠での出場を決めた。日本人初の快挙だ。
その勇姿は、BGTの公式YouTubeにアップロードされているので、まずはこの動画をご覧いただきたい。
僕は、これを見て、ネタ切れの心配をした自分を恥じた。
トニーは、BGTの舞台設定を十分に生かして、最後まで思いっきり振り切れていたからだ。
オープニングは、映画「ターミネーター」のテーマソングに乗せて登場。
GBTの観客たちは、もう、《お約束》がわかっているから、この裸(に見える)ポーズが現れただけで大爆笑。
加えてトニーが、「I'm back!」と叫んだことで、大歓声が上がる。
これはもちろん、「ターミネーター」内の名台詞「I'll be back」にひっかけたもの。
敗退したと思われていたところからのサプライズ復活だから、「I'm back!」というツカミは上手すぎる。最高だ。
トニーは、「SUPERHERO naked pose!」と宣言。
エキストラたちを引き連れながら、バットマン、スパイダーマン、スーパーマンなどを次々に披露。
BGTの舞台では、キャストや小道具をたっぷり使ったド派手な演出もOKなので、こんなネイキッドポーズだってできる。
かつて、とにかく明るい安村が日本でブレイクした時、まさか、こんなポーズがとれるなんてことは、本人も考えていなかったのではないか。
それだけに、トニー自身も、思う存分この舞台を楽しんでいた感がある。
会場との一体感も申し分ない。
トニーがネイキッドポーズをとり終えた後、「Don’t worry,I’m wearing…」と宣言すると、会場からは、割れんばかりの声で、「Pants!」の大合唱が返ってくる。
いやぁ、最高だ。
トニーは、観客たちの心を完全に掴んで、思うがままに決勝の舞台を楽しんでいた。
僕が一番笑ったのは、BGTの辛口審査員として有名なサイモンをネタにした、ネイキッドポーズをとったところ。
トニーは、「ヴィラン(悪党)ネイキッドポーズ!」と宣言し、サイモンが失格ブザーを押すシーンを披露。
サイモン版のネイキッドポーズについて、トニーは予選の舞台で言及しており、ここでまさかの伏線回収だ。
この芸で、会場は大いに盛り上がったが、他ならぬサイモンも爆笑していた。
BGTの長い歴史の中で、大御所サイモンをこれだけダシにした挑戦者はいなかったのではないか。
それだけでも、トニーは、番組史上に残る存在になったと言える。
決勝パフォーマンスの掉尾を飾ったのは、フレディマーキュリーのネイキッドポーズ。
英国が生んだ世界的バンドである、クイーンのスーパーヒーローだ。
トニーは、「Don't Stop Me Now」の曲に乗せ、マイクを手にして、ステージ上を所狭しと踊って飛んで、ネイキッドポーズをとりまくった。
One of Japan's most beloved comedians @tonikakuwearing competed in the finals of @BGT yesterday and performed using Queen's "Don't Stop Me Now" https://t.co/tRCxIkwoPt
— Queen (@QueenWillRock) 2023年6月5日
これには、なんと、クイーンの公式Twitterアカウントも反応。
そのぐらい、英国にとってトニーの存在は大きなものとなったのだ。
トニーは、決勝の舞台でも観客を大いに沸かせたが、流石に、国王の前で裸芸はできないという深謀遠慮(?)で、優勝できなかった。*1
しかし、優勝なんてどうでもいい。
トニーは、優勝者に匹敵する存在感を十分に示したし、こんなに楽しい舞台を世界中に見せつけてくれただけで大きな価値がある。
凱旋帰国後の新たな飛躍に期待したい。
このフィギュア、英国で販売したらバカ売れしそうw
(現在は品切絶版で入手不能。再販してくれないかなぁ…。)
*1:この番組の優勝者は、英国王の前でパフォーマンスを演じることになっている。