とにかく明るい安村が、「安心してください、はいてますよ」でブレイクしたのは、2015年。今から8年前の話だ。
ピンク色のパンツ一丁の姿で、《全裸に見えるポーズ》を披露するネタは、実に斬新で、僕も爆笑したことを思い出す。
「安心してください、はいてますよ」の決めゼリフは、ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10にも選ばれるほどヒットした。
その後、文春砲(嫌な言葉だ)の影響で挫折を味わうも、「有吉の壁」などの出演で復活…というのが、先週までの略歴だった。
しかし、今週、その略歴に大きな1ページが加わった。
世界的に有名な英国のオーディション番組「Britain's Got Talent(BGT)」に出演し、かつ、大爆笑、大絶賛を生んでいたことが発表されたのだ。
その快挙は、BGTの公式動画として、YouTubeにアップされている。
とにかく明るい安村は、英国での芸名を「Tonikaku(とにかく)」、ニックネーム「トニー」として出演。
裸芸と聞いて、最初は引き気味だった審査員たち。
しかし、トニーが最初の芸を披露した直後から、一転してノリノリ。
辛口審査員のサイモンが、こんなに子供のように笑う姿は、なかなか見られない。貴重だ。
日本語字幕付きの動画ニュースはこちら。
これを見た後、あらためて公式動画を見直すと、この芸の素晴らしさが再認識できる筈だ。
とにかく明るい安村の英語は片言風で、一見「大丈夫か?」と思わせる。
しかし、片言風なのはポーズで、実は緻密な計算があるのだと、僕は思っている。
審査員たちの台詞をしっかり理解した受け答えになっているからだ。
披露するネタも、ちゃんと計算されている。
「全裸のサッカー選手」から始まり、「騎手」「ジェームズボンド」と、英国にゆかりのあるものばかり。
最後は、イギリスの女性アイドルグループである「スパイスガールズ」の「ワナビー」を使って締めるところまで完璧。
何が凄いと言って、女性審査員たちを巻き込んだ芸になっているのが、素晴らしい。
とにかく明るい安村は、最初の説明で、「I'm wearing Pants(私はパンツをはいています)」ときっちり言っている。
しかし、芸を披露した後は、「Don't worry. I'm wearing…」まで言って、微妙な間を置く。
そこで観客に「Pants!」と言わせるところまでが、英国版のネタなのだ。きっと。
日本では、単に「はいてますよ」で通じるが、英語の場合、他動詞として使った「wear」が目的語をとらないのは実に不自然。
だから、英語圏の人は目的語の「Pants」をつけたくなる筈で、それを逆手に取った高度な巻き込み芸だと思う。
今回は、女性審査員が「Pants!」と叫んでくれたので大成功。
あまりにも上手くハマりすぎているので、やらせじゃないかと思うほどだ。
しかし、この番組でそんなことはあり得ないから、とにかく明るい安村の戦略が見事過ぎたということだろう。
英国では、早速子供たちがネタにしているようだ。
My grandson …… 🤣🤣🤣#SebbyWearingPants pic.twitter.com/PNotx45exT
— GranniesGnome (@GranniesGnome) 2023年4月22日
「Don't worry. I'm wearing…」「Pants!」の《掛け合い》が最高。
英国のあちこちの家庭で、こんな微笑ましい光景が行われていると思うと、なんだか嬉しくなる。
英語ならではの《掛け合い》スタイルを装備して、僕は、このネタがさらに進化したと思う。
今後の動向にも注目したい。