アンジェリーナ・ジョリー好きとしては、見逃せない映画だった。
だからもちろん、公開早々に見に行った。
「アンジーが、身体を張って山火事に立ち向かう映画なのだろう」というのが、予告編を見た印象。
確かにそれは、この映画にとって、ひとつのポイントになっている。
…が、僕はそれ以外のところにも心を打たれてしまった。
この映画には明確な「悪」といえる暗殺者が存在し、その残酷ぶりは、いきなり冒頭から発揮される。
それと並行して、とある事件でトラウマを持った、森林消防隊員ハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)の姿が描かれる。
この映画において、ハンナは、そんな暗殺者と真っ正面に戦うのではなく、《巻き込まれる》立場なのだ。
心に傷を負っている上に、雷の暴れっぷりにも翻弄されて、満身創痍の状態。
しかし、そんな状態でも、少年コナー(フィン・リトル)を命がけで救おうとする、ハンナの姿は心を打つ。
アンジェリーナ・ジョリーは、ハンナの弱さと強さを見事に演じきっていた。
しかし…。
この映画の魅力はそれだけじゃない。
サイドストーリーとも言える、副保安官夫妻の姿が、実に素晴らしい。
僕は、副保安官のイーサン(ジョン・バーンサル)と、妊婦の妻アリソン(メディナ・センゴア)を巡る物語に痺れた。
とりわけアリソンは、主演のハンナにも負けず劣らずの格好良さだったと思う。
暗殺者の行動があまりにも粗雑だし、ラストは少しモヤモヤも残るが、あっという間の100分間。
スピード感のある、良質のサスペンスだと思う。
アンジーファンはもちろんのこと、サスペンス好きにもオススメ。