旅に出る目的は、人によってさまざまだろう。
最近の僕は、マラソンレースに伴う旅が多いけれど、それが目的の全てじゃない。
旅先での情景や出会い、もちろん餃子を楽しむことも、旅の目的。
それぞれの重要度は、旅によって異なるが、ひとつだけはっきりしていることがある。
全ての旅において、「日常のストレスから解放されること」が、僕の最大の目的であり、喜びだ。
旅は、僕をリフレッシュさせてくれる大きな要素。
次の旅があるから、今、頑張れる。毎日を乗り切っている。
旅の間は、そう、旅の間ぐらいは、完全にストレスフリーでいたい。
そう思って、僕は生きている。
しかし、今までの旅では、それが結構難しかった。
僕は、ちょっとしたことでも、すぐに気になって悩む厄介な性格なので、旅の途中にストレスが発生してしまうからである。
旅に帯同させる電子機器類の山に溺れ、「やたらと荷物が多くなりすぎる」ことも、そのひとつだった。
結果、全てを使いこなせず、旅の終わりに後悔することがしばしば…。
だから今回の旅で、僕は、帯同する電子機器を、大きく絞り込むことに決めた。
電子機器中毒とも言える僕にとって、これはひとつの賭け。
日常使っているものが「ない」ことによるストレスが、発生する可能性もあったからだ。
ただ、旅先において、日常と全て同じ生活環境を求めるのは所詮無理。
ならば、旅先ゆえの割り切り、旅先ならではの装備、絞り込みが必要だと考えたのである。
結果、僕の目論見は大成功だった。
今回の旅は、身軽に、ストレスフリーで、実に気持ちよく過ごすことができた。
僕にそれをもたらしてくれたMVPは、なんと言っても、「あの」端末だ。
【蛇足】
今回のエントリーとは直接関係ないけれど、僕にとって、「旅」と言えば、この本。
深夜特急〈第一便〉黄金宮殿
若い頃に出会って痺れまくり、それから数十回と読み返している本だ。
旅をイメージした《第一便》《第二便》《第三便》という表現が、何とも格好いい。それぞれの便ごとに、世界や感情が移ろっていくのも素晴らしい。
あぁ、僕は、この本に大きな刺激を受けて、アジアのさまざまな国に行ったんだよなぁ…。思えば、あの頃はストレスなんてあまりなかった。
「深夜特急」は、文庫化もされているが、その際なぜか6巻ものとなり、《第一便》などの便表示がなくなってしまった。実に残念。ここは単行本のスタイルと連動させて欲しかったなぁ…。
ということで、僕は、文庫化後もそれを入手せず、この単行本を読み返し続けてきた。
ただ、単行本はあまりに嵩張って荷物になるので、「旅先に持ち出しにくい」のが難点だった。
旅行中に読めるよう、いつか文庫本も買っておこうかなぁ…と思っていたのだけれど、今回、ちょっと調べてみて驚いた。
文庫本の全6冊が、「合本版」としてKindle化されているではないか。
これを買えば、さまざまな電子機器で読めるため、全く荷物にならない。いやぁ、便利な時代になったものだ。
「電子化」された書籍において、巻数の概念など無意味だと思うから、《合本版》という名目で、文庫版6冊分程度の金額になるのは、ちょっと納得できないのだけれど…。