将棋界は、竜王と名人を頂点とした8つのタイトル戦があり、藤井聡太は、そのうち5つ(竜王/王位/叡王/王将/棋聖)を保持している。
今年の年初には、王将戦第1局が行われた。
将棋界のレジェンド羽生九段を挑戦者に迎えての防衛戦で、大いに盛り上がったことを思い出す。
その第1局では…。
羽生九段にこれといったミスはみられなかったのに、藤井王将は、中盤からじわじわと優勢を築き、終わってみれば完勝。
あらためて、その強さを見せつけた。
そんな王将戦の記憶も新しい昨日。
1月15日は、またまた《藤井聡太デイ》と呼べる1日になった。
2つの公式棋戦で3勝したことが明らかになった*1からだ。
将棋界においては、前述8大タイトルの他に、トーナメントで行われる4つの早指し棋戦がある。
銀河戦(録画放映)
NHK杯(録画放映)
日本シリーズ
朝日杯
この4つは、どれも、一定の持ち時間(10分~数十分)を使い切ると、1手30秒以内で指さなくてはいけない。
いわば、超高速での思考力が求められるわけで、持ち時間がたっぷりあるタイトル戦(それを使い切っても1手1分以内)とは、大きく性格が異なる。
そんな棋戦においても、藤井竜王(5冠)は、鬼神のような強さを発揮したのだ。
まず、午前中に行われた阿久津八段との対決で逆転勝利。
午後14時から行われた増田康宏六段との対決では、90手目で、藤井竜王の勝率は、たった2%。
しかも、その時点で持ち時間を使い切っており、1手30秒以内の将棋。
もはや万事休すと思われた局面から…奇跡が起こった。
いや。藤井竜王の執念が、奇跡を起こした。
増田六段に入玉*2を許しながら、169手にわたる激闘を制してしまったのだ。
恐るべき強さ、というしかない。
また、藤井竜王は、昨日放映されたNHK杯戦(対局日は不明)でも、元名人の佐藤天彦九段を下しており、結果的に、1日3勝を積み重ねることとなった。
今年度、藤井竜王は、4大早指し棋戦のうち、銀河戦と日本シリーズを制しており、残る棋戦はあと2つ。
朝日杯は、ここ6年で3勝という相性のいい棋戦で、しかも昨日は、2回の大逆転で準決勝に進出した。
こうなると、もう、止まらない気がする。
NHK杯戦は、これまでなぜか相性が悪く、ベスト8にも入れなかったのだが、昨日はその壁を初めて破った。
その勢いを考えれば、今年度は優勝もあり得るだろう。
将棋界の長い歴史においても、この4大棋戦を同年度に全て制した棋士はいない。
4つのうち3つを制したのも、2011年度の羽生二冠(当時)だけ。
早指し棋戦は、前年の覇者であっても、毎回トーナメント戦に臨まなければいけないため、それを全て制するのは、至難の業なのだ。
しかし、今の藤井竜王ならば、それを達成しても全く不思議はない。
まだあどけなさを残す、若干20歳の王者は、早指し棋戦においても、奥深い底力を見せつけた。
いったいどこまで強くなるのだろう。興味は尽きない。