ホーチミン中心街から、車で約30分。
5区の中華街を越えたところに、その《特別な街》は広がっていた。
水餃162・185…。
175・177…。
189・191…。
193・195…。
いやはやとにかく、右を見ても、左を見ても、「水餃」の看板だらけなのだ。
水餃の文字と並んで表記されている数字は、どうやら番地を示しているらしい。
メニュー構成は、どの店も同じような感じで、その名の通り、水餃《SUI CAO》がメイン。
こんなに同じような店が並んでいて、需要はあるのか?棲み分けはできるのか?と心配してしまうのだけれど、それは全くの杞憂だった。
僕がこの地に辿り着いたのは、午後5時ぐらいだったから、まだ夕食にはちょっと早い時間帯。
しかし、どの店もそれなりに賑わっていたからだ。
それほど広い通りではないのに、バイクや車がひっきりなしに走っていて、次々と人が集まってくる。
ひとつの通りに、《水餃》の店が集中することにより、大きな宣伝効果・相乗効果が得られる、ということだろうか。
まぁ、僕も、だからこそここを訪れたわけなので、そのシナジー戦略(?)は、奏功しているのではないかと思う。
到着直後、僕は、まだそれほどお腹が空いていなかったため、街の周辺を歩いて腹ごなし。
ホーチミン名物であるバイクの大群は、この辺りでも変わらない。
道を渡るのにも一苦労するから、散歩も楽ではないのだけれど、それでも何とか歩き回って…。
再び、この通りに戻ってきた。
人もバイクも、そして車も増えて、さらに賑わいを増している。
僕はまだそれほどお腹が空いてはいなかったのだけれど、これ以上のんびりはしていられなかった。
どの店も満席になりつつあったし、この日は帰国日でそれほど時間の余裕もなかったからだ。
ということで…。
僕は、あまたの数字がひしめく看板たちから、「195」を選んで入店した。