総務省が、またしても携帯電話会社に圧力をかけるようだ。
今度は、ここ10年以上価格が変わっていない携帯通話の料金について、引き下げを検討しているのだという。
総務省は、近年、携帯電話会社に対して、さまざまな形で見直しを要求してきた。
それにより、一定の効果は得られたと思う。
不当だった契約解除料の見直しが行われたし、ahamoやpovo、LINEMOなどの新料金プランも、総務省の動きがなければ実現しなかっただろう。
携帯電話会社の競争は激しくなり、全体的に、利用者の負担額は少なくなってきていると思う。
ただ…。
「通話料金」という点に関して、現状、それほど大きな問題が発生しているのだろうか?
確かに、3分120円という基本料金は高いのかもしれないが、それなりに電話をする人は、カケホーダイオプションなどを契約すれば、料金を抑えることが可能。
また、インターネット電話やLINE通話などを使えば、(回線品質はともかくとして)無料通話もできる。
もちろん、利用者としては、安いに越したことはないので、基本料金の見直しを提言するのもいいだろう。
しかし、「通話」という点にフォーカスするなら、そんなことよりも、もっと大きな問題点にメスを入れて欲しい。
ナビダイヤルの存在だ。
この点について、僕は、このサービスの開始直後から大いに疑問を呈してきた。
7年前の時点では、まだそれほど普及してはいなかったが、今や、石を投げればナビダイヤルに当たると思えるほど、この番号が蔓延している。
利用者側の立場として、何よりナビダイヤルが腹立たしいのは、携帯電話会社による無料通話枠対象外であること。
だから、いくらカケホーダイオプションなどを契約していても、ナビダイヤルには別途料金がかかってしまうのだ。
ナビダイヤルの問題点は、それだけじゃない。
0570の電話番号には、LINE電話やIP電話などからかけることもできず、海外からも繋がらない。
ガイダンスが流れている間や、保留中にも、料金がかかってしまう。
とにもかくにも使いにくい、割高なサービスだと思っている。
携帯電話利用者にとって、百害あって一利なしと思える悪徳サービスが、いったいなぜ、世の中に蔓延しているのか。
それはこのサービスの紹介ページを見るとよくわかる。
ナビダイヤルの運営会社である、NTTコミュケーションズのWebサイトには…。
企業向けの、売り込みページしか用意されていないからだ。
要は、それを使う利用者のことなど何も考えていないサービスなのである。
企業に対して、一番の売り込み文句は、これ。
通話料金は発信者負担
という点だ。
単なる発信者負担というだけなら、固定電話だって同じことだが、「真の」売り文句は以下の通り。
通話料金は発信者負担で、かつ、携帯電話会社の通話無料サービス対象外。
ということだろう。
携帯電話での通話定額が当たり前になってきた時代に、それを対象外とするシステムなのだから、(企業側にとっての)入電抑制効果は抜群。
現状、企業のサポートセンターなどが軒並みナビダイヤルになっているのは、NTTコミュケーションズ社が、それを売りにして促進を進めているからに違いない。
全くもって利用者を蔑ろにした、顧客満足の対極にあるサービスだと思う。
僕は、総務省に訴えたい。
携帯電話による通話料金の高さを問題視するならば、まずは、このナビダイヤルを何とかしてもらいたい、と。
総務省の有識者会議に参加する人たちは、ナビダイヤルの番号に電話をしたことがないのだろうか?
一度でも電話をして、保留音の間にも、どんどん課金される不合理を味わえば、どう考えても見直しが必要だと気がつく筈なのだけれど…。