西武池袋線「練馬」駅北口を出て、徒歩3分。
駅前の大通りから、ちょっとした小道に入った場所に、その店は、ひっそりとした佇まいで存在している。
店の名は「亀楽」
店頭には、配達用のバイクと店名入りの岡持が鎮座しており、いつでも出前に出られる体制が整っていた。
夕方の開店は17時となっていたため、僕は、その時間に合わせて店に向かい、営業開始早々入店した。
店内はカウンターのみ。
アクリル板で仕切られており、「黙食」のお願いイラストつき。感染症対策もバッチリだ。
店の壁には、美味しそうな麺類の写真がズラリ。
この店は、麺類がオススメのようで、Webなどでの評判も高い。
ただ、この日僕は、ハシゴをする予定だったため、お腹に溜まる料理は避ける必要があった。
だから僕は、これらの料理をグッと我慢。
いつもの通り、いつもの料理を注文することにした。
もちろん焼餃子だ。
そもそも僕は、この店で焼餃子を食べるために、開店時間に合わせて訪れたのである。
僕がつらつらと店内を眺めている僅かの間に、なんと、カウンター席は満席になっていた。
そして、僕の後に入ってきた人たちも、誰もが皆、焼餃子を注文していた。
僕と違って、他に麺類とかチャーハンとかを合わせて頼んでいたが、餃子だけは、全員が注文。
それだけじゃない。
店内では、出前の電話がひっきりなしに入ってきて、そこで注文される料理の中にも、必ず餃子が含まれていた。
地元民にも愛される餃子。いやぁ、これは大いに期待できそうだ。
注文が殺到したのを受け…。
厨房内では、店員総勢で餃子を包み始めたため、僕はちょっと驚いた。
夕方の開店早々だったし、餃子もこの店の看板メニューでそれなりの注文が見込めるのだから、予め包んでおいた方が楽だった筈。
しかしこの店では、それを良しとせず、注文に合わせて包む方式をとっているようだ。
僕が入店した日は、図らずも餃子注文のラッシュになったため、全員で包むことになったのだろう。
そのこだわりが素晴らしい。僕は、ますます期待した。
待つこと10分程度だろうか。僕の目の前に、芸術品がやってきた。
包みたて、焼きたての、見事な羽根つき餃子だ。
僕は、餃子の羽根にはそれほどこだわっておらず、「なくてもいい」派。
あんまり羽根の主張が強いと、むしろ邪魔に感じてしまうこともある。
しかし、この店の餃子は、絶妙なバランスの羽根を纏っており、それが《必然》のように思える。僕は大いに期待した。
これだけ魅惑的な餃子には、やっぱり相棒もつけてあげたい。
ということで…。
やっぱりビールも注文。
たとえ他の料理は控えても、餃子を頼む以上、ビールだけは欠かせない。餃界の常識だ。
僕は冷たいビールで喉を潤しながら、待望の餃子を囓ってみた。
うわっ。
旨い!旨すぎる!!
皮と羽根、丁寧に刻まれた具が織りなす、三位一体のザクザク感が絶妙で、至福の歯ごたえ。いやぁ、これはかなりレベルが高い餃子だぞ。
店内で、出前で、誰もが注文するのも納得。
僕も、地元に住んでいたら、毎日出前してもらいたくなったに違いない。
もちろん、ビールとの相性も最高で、この日ハシゴする予定がなければ、餃子の《おかわり》をしたかったほど。
店長オススメだという麺類や、他の一品料理なども気になるので、この店は、是非また訪れたいと思う。