とにかく「凄い作品」だとは思う。
主演であるホアキン・フェニックスの演技は、半端じゃない。
鑑賞後1週間経っても、脳裏にあの笑い声が響いているほど、強烈なインパクト。
流石は評判の作品だし、オスカーの大本命作品だと言われていることも、わかる。
ただ、僕は、やっぱり戸惑いを隠せなかった。
僕は、スピード感のある、楽しいエンタメ系の作品が大好きで、それとは対極に位置している映画だからだ。
戸惑いの原因は、もうひとつある。
そもそもこの映画は、その鑑賞前に、《ジョーカー》が何者であるかを、「予め知っている」ということが前提。
映画ファンであれば、ほぼ100%知っているのだろうし、そうでなくても、基礎知識としてわかっている人が大多数だと思う。
恥を忍んで告白すれば、僕は、全く知らなかった。(実に恥ずかしい…。)
僕は、アメコミに全く興味がなく、関連の映画も避けていたため、ジョーカーが、バットマンの★★(一応伏せ字^^;)であることを、全く知らなかったのだ。
流石に「バットマン」が何者であるかぐらいわかっているので、どこかで見ていたのかもしれないが、たとえそうだとしても、忘却の彼方。
さらに、この映画に関しては、予告編さえも見ていないので、いわば予備知識ゼロでの鑑賞となった。
その結果…僕は、最初から最後まで、主役の「ジョーカー」に感情移入ができなかった。
いや、正確に言うと、冒頭からしばらくは感情移入できていた。
しかし、地下鉄の事件以降、ついていけなくなってしまう。
「いくら何でも、これはない」と思ってしまい、それからあとは、どうにもこうにもダメだった。
ジョーカーの境遇や心理、かつ、ゴッサムシティ(ジョーカーの住んでいる街)の舞台背景を考えれば、必然の展開だったのかもしれないが、でも。
やっぱり僕は、あの展開に違和感を感じてしまったのだ。
どうにもこうにも後味が悪く、モヤモヤした重苦しい気分で、映画館を出たことを思い出す。
鑑賞後、さまざまなレビューを見て、僕はようやく、ジョーカーが、バットマンシリーズの★★(伏せ字にする意味あるのか?w)であったことを知る。
直接の繋がりはないにせよ、「あの」ジョーカー誕生の物語、と考えれば全てに納得がいく。
だから、それを踏まえてもう1回鑑賞すれば、印象も大きく変わるのかもしれない。
ただ、あまりにも内容がヘビーなので、僕はたぶん見ないと思うけれど。