JALの国内全路線が一律6,600円。土日も対象で同一価格。
国内線航空券のタイムセールは、「JALスマイルキャンペーン」最大の目玉だった。
ライバルANAが先行実施した「ANA SUPER VALUE セール」は、片道7,000円で、土日は10,000円となっていたので、それより断然得。
JALは、大々的な広告戦略で、この破格のキャンペーンを積極的にアピールしていた。
だから、いざ発売当日になるまで、胸を躍らせていた人は多いだろう。
僕もそのひとりだった。
3月9日。午前0時。いざキャンペーンの蓋が開いてみると、案の定、アクセスが集中。
その件について、僕は昨日、こんなエントリーを書いた。
JAL「スマイル」キャンペーンだというのに、こんなに繋がらなくては「笑えない」という、ぼやきだ。
ただ僕は、時間が解決するものと思っていた。
前述のANAキャンペーンも、最初はアクセスが集中したものの、その後繋がるようになったからだ。(めぼしい路線は売り切れになっていたが)
一晩経てばきっと、この騒ぎも落ち着くだろう、そこでまだ残っているところから、行きたい場所を探せばいいか…などと考えていた。
しかし、そんな僕の予想は大きく裏切られた。しかも悪い方向に。
アクセスの集中は、昨日の朝になっても、午後になっても収まらなかった。
その影響は、国内線航空券のタイムセールだけにとどまらず、JAL全体のサーバーを圧迫。
【お詫び】
— JAPAN AIRLINES【JAL】 (@JAL_Official_jp) 2023年3月9日
JAL Webサイトにて繋がりにくい事象が、現在も継続しており
引き続き復旧に向けて、調査・対応を実施しております。
復旧しましたら、本アカウントにてご案内いたしますので
できるだけアクセスはお控えいただけますと幸いです。
ご不便とご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
JALは、こんな【お詫び】を出して、「できるだけアクセスを控えて欲しい」と訴えた。
けれど、キャンペーン価格を狙ってずっとアクセスし続けていた人が、こんなメッセージで、アクセスを控えるだろうか。
「ここで控えたら、それまでの時間が無駄になる。」
「たとえ自分は控えても、控えない人たちというのは絶対にいる。」
「控えている間に、行きたい場所が売り切れになってしまう。」
「だから自分も諦めない。」
…などと考える人が多かったのではないか。
だから結局、いつまで経ってもアクセス集中、サーバーへの圧迫は収まらず、JALは、強硬手段に訴える。
JAL | 【お詫び】JAL Webサイトへの接続障害に伴う「JALスマイルキャンペーン」国内線航空券タイムセールの販売中止について
国内線航空券タイムセールの中止だ。
それを行うことによって、何とかWebサイト全体の接続障害を解決することにしたのである。
セールでの購入を予定していたユーザーからの反発は必至だが、セールとは全く関係ない通常顧客に、これ以上の迷惑はかけられない。
JALとしては、そう考えた上での苦渋の決断だったと思う。
僕は、この結末に衝撃を受けた。
「なぜ中止?延期じゃないの?」と思った。
しかし、しばらく考えてみて、その理由がわかった。
JALとしては、簡単に《延期》という判断ができるほど、この問題は小さくなかったのだ。
同条件でセールを行えば、当然また、Webサーバーにアクセスは集中する。
それに見合うだけの改善、改良が、そう簡単にはできない、ということなのだろう。
それぐらい、今回のアクセス集中は、JALの想定を超えていたのだ。きっと。
僕は、対策が甘かったんじゃないかとは思ったものの、ここまでならば、まだ、衝撃だけで終わっていた。
多少なりとも時間は奪われたが、別に大きく困るような話でもない。もともと「ゲットできれば儲けもの」ぐらいに考えていたからだ。
ただ、その後、この情報を知って、釈然としない思いを抱いた。
なんと、Web限定のキャンペーンだったにも関わらず、電話予約できた人がいるというのだ。
SNS界隈の噂をまとめると、どうやら、JALダイヤモンド会員などの上級会員が、サーバーに繋がらないことを、ヘルプデスクにねじ込んで、強引に取得したらしい。
いわば上級会員の《ゴネ得》だ。
JALにとっては上客だから無碍にはできない、ということもあるのだろうが、これはやっぱり由々しき問題のように思える。
国内線航空券のセール開始前、スマイルキャンペーンのページには、はっきりと《Web限定》と書かれていた。
それなのに、電話予約ができてしまうというのは、どう考えても間尺に合わない。
現状、そのキャンペーンページは、以下のような表示に変わっているが…。
「販売を中止いたしました」の文言が、黒枠の上部に寄せて書かれている。
普通は、黒枠の中央部分に配置される文言の筈なのに、ちょっと不自然。
だからこれは、《Web限定》部分の文字が見えないようにしているのだ。
こういった小細工(?)を見ていたら、僕は渋面になってしまった。
スマイルキャンペーンで無邪気にはしゃぐ広告モデルたちの笑顔が、薄ら寒く見えてくる。
いったい誰が笑えるんだろう。ゴネ得会員のひとり勝ちセールだったのか?
僕は、かつてJAL修行を行った「赤組」*1だから、JALに対しての思い入れはあるのだけれど、やっぱりどうにもこの対応は納得がいかない。
*1:JALのシンボルカラーが「赤」であることに基づく、航空業界?用語。ANA好きは「青組」と呼ばれる。