筒井康隆先生の『残像に口紅を』をテーマにした書道展が、現在、品川区大崎の光村・グラフィックギャラリーで開催されている。
『残像に口紅を』は、世界から次々と言葉が消えていくという、驚異の実験小説だ。
1989年に発表された作品でありながら、近年、「アメトーク」や「TikTok」で大いに話題になり、現在重版を重ね続けている。
この書道展は、そんな『残像に口紅を』の丸々1冊全文を書にするという、驚異的な展覧会だ。
会場入口。入場料は無料。
受付では、『残像に口紅を』の文庫本が販売されていた。
僕はもちろん持っている(文庫本だけじゃなく単行本も)が、日曜日のみ、50冊限定でサイン本が購入できるということだったので、もちろん購入。
筒井康隆先生の直筆署名と落款入り。素晴らしい。
展示場内も撮影OKということだったので、僕は、写真を撮らせていただくことにした。
その作品は、圧巻、のひとこと。
『残像に口紅を』の世界が、冒頭から丹念に書で再現されている。
僕は書道の世界に詳しくないのだけれど、それでも、思わず唸ってしまった。
本文の内容とともに、消えていった文字が薄墨で描かれ、幻想的なイメージを醸し出す。
世界から文字が消えていくという世界観と書道の世界が、見事に融合していると思う。
とりわけ超絶的なのが、世界から殆どの文字が消えてしまった情景が描かれる終盤。
その作品は、会場内に収まりきらず、ギャラリーの外に展示されていた。
いやぁ、何とも凄い迫力だ。
この小説を読んだ人ならわかると思うけれど、終盤のたたみかけるような疾走感が見事に表現されていると思う。
これは、小説と合わせて、じっくり見比べていきたいところだ。
昨日、僕はそこまでの時間がとれなかったので、もう1回訪れなければと思っている。
書道展は、6月5日までの開催。全ツツイスト必見だ。