餃子ランナーのAI空想物語・第13話
(作:Chat GPT5/原案:Gyoza Runner )
《これまでのあらすじ》
餃子ランナー。それは、走ることで餃子をより美味しく味わおうとする僕自身の物語だ。やがてAI分身「デジタル餃子ランナー」が登場し、人間とAIの境界を揺さぶる存在に成長。
東餃マラソン、世界陸餃、そして混迷の餃裁選を経て、餃界初の女性餃裁が誕生。その就任演説「餃政改革」により、争いに疲れた餃界に一筋の光が射す。
そして、奇跡の夜──満月に餃子の姿が浮かぶ「中秋の餃月」が降臨した。
「大阪万博」は終わっても、「餃子が万博」は終わらない!
昨日、2025年大阪・関西万博が閉幕した。
半年にわたる“人類の叡智の祭典”が終わり、会場には静けさが戻った。
SNSのタイムラインには「ありがとう大阪」「また会う日まで」の文字が並び、ニュース番組も総集編で賑わっていた。
だが――僕の脳内では、別の祭典が始まろうとしていた。
その名も、「餃子が万博(Gyozaga Banpaku)」。
「大阪万博」が未来を見せたなら、「餃子が万博」は“世界を包む未来”を見せてくれる。
焼き、水、蒸し、揚げ。どんな餃子にも、それぞれの文化と物語がある。
ならば僕は、それを“脳内の足”で巡ることにした。
腰痛と骨折により、現実の僕はまだ走れない。
けれど、心の中の餃子ランナーは、再びスタートラインに立っていた。
🇯🇵 出発 ― 日本の餃子から
最初の舞台は日本。
黄金の羽根つき餃子を頬張りながら、脳内の僕は靴紐を結ぶ。
カリッという音が、号砲のように響いた。
「よし、世界を包みに行こう!」
そうして、餃子パワーを燃料に、僕の“空想マラソン”が始まった。
🇳🇵 ネパール ― 蒸し餃子「モモ」
ヒマラヤの雪を見上げながら走る。
屋台の湯気の向こうに、白く丸いモモが蒸し上がっていた。
一口囓ると、スパイスと温もりが全身を駆け抜ける。
冷えた脚が再び軽くなる感覚――走る喜び”がそこにあった。
🇹🇷 トルコ ― 「マントゥ」
文明の交差点、イスタンブールの坂道を駆け上がる。
ヨーグルトソースの酸味が風に溶け、パプリカの香りが漂う。
小さな餃子をひとつ食べるたび、エネルギーが満ちていく。
「旅は走るほど、味が深くなる」――老店主の言葉が心に残った。
🇮🇹 イタリア ― 「ラビオリ」
地中海を渡り、ナポリの海沿いをジョグする。
波音とタンバリンのリズムに合わせて、ラビオリをフォークで割ると、チーズがとろりと溢れ出す。
「炭水化物、たんぱく質、脂質、全部包んである。これぞ最強の補給食だな。」
僕は笑いながら、再び前を向いた。
🇵🇱 ポーランド ― 「ピエロギ」
バターの香りが漂う寒空の下。
ピエロギを頬張りながら、凍える指先で息を温める。
「走るのもいいけど、ピエロギも食べてね!」子どもの声に笑みがこぼれる。
“走るために食べるんじゃない。食べるために走るんだ。”
その言葉が、僕の座右の銘になった。
🇹🇳 チュニジア ― 「ブリック」
地中海を南へ渡ると、香ばしい匂いが迎えてくれた。
卵とツナを包んで揚げたブリック。
かじった瞬間、黄身がとろりと溢れる。
それはまるで、長い間閉ざされていた心が再び温まるような瞬間だった。
🇿🇦 南アフリカ ― 「サモサ」
南へ走り、ケープ岬へ。
夕陽のオレンジが海に沈む瞬間、スパイシーなサモサを頬張る。
熱気、油、スパイス――その全部が、生きている証のように感じられた。
🇦🇷 南米 ― 「エンパナーダ」
旅の終着点はブエノスアイレス。
タンゴのリズムに合わせて街を駆け抜ける。
香ばしいエンパナーダの匂いが漂い、手のひらサイズの包みの中に、牛肉、オリーブ、卵、そして“情熱”が詰まっていた。
僕は空を見上げ、深呼吸した。「走るって、やっぱりいいな。」
🌏 結び ― 現実へ戻る、そして未来へ
……気づくと、僕はデスクの前に座っていた。
モニターには“仮想マラソンマップ”。湯気の立つ餃子皿が一枚。
どうやら、また脳内世界を走りすぎたらしい。
けれど、胸の中では確かに鼓動が高鳴っていた。
走りたい。もう一度、現実の足で。
餃子のように――何度でも、包み直して、生きていきたい。
世界じゅうには、ありとあらゆる餃子が満載で、走り続けながらも、いつの間にか満腹になっていた。
僕は思った。「大阪・関西万博は終わってしまったけれど、餃子が・満載満腹だからいいじゃないか」と。
そうつぶやくと、モニターの隅に「NEXT STAGE」の文字が光った。
餃子が万博――まだ、僕の旅は終わらない。

