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米アカデミー賞7冠「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(エブエブ)140分間の苦行【個人的な感想】

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今年度米アカデミー賞は、「エブエブ」祭りだったと言っていい。

大本命だった「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が、計7部門で栄冠を獲得。

しかも、その内訳が凄い。

作品賞を初め、監督賞(ダニエルズ)、脚本賞(ダニエルズ)、主演女優賞(ミシェル・ヨー)、助演男優賞(キー・ホイ・クァン)、助演女優賞(ジェイミー・リー・カーティス)、編集賞。

主演男優賞を除く、主要な部門賞を総ナメしたのだ。

この映画に主演男優はいない(主演級のキー・ホイ・クァンは助演男優賞を受賞。)ので、ほぼパーフェクトな結果。

僕はあまりこの映画に興味がなかった(ポスター写真を見て、なんとなく肌に合わない気がした)のだけれど、オスカー7部門受賞作となれば、やっぱり見逃せない。

僕は、できるだけ予備知識を入れず、まっさらな状態で映画を見たいタチなので、予告編さえも見ずに、劇場へ出かけた。

7冠受賞作品に敬意を表して、「Dolby Atmos上映、プレミアシート、中央列のど真ん中」という極上の鑑賞環境を確保。

僕は、大いに期待しながら、いざ、エブエブワールドに入っていき…あえなく弾き飛ばされた。

冒頭部分の展開は悪くなかった。

アメリカで、経営の苦しいコインランドリーを営む、中国人女性エヴリンが主役。

優しいけれど頼りない夫のウェイモンドは、密かに離婚届を抱えている。

娘のジョイはレズビアンで、恋人同伴で帰宅。

そして、気難しい父のゴンゴン。

癖の強いメンバー構成で、どんな物語が始まるのだろう…と思った。

しかし、そんなキャラクター設定は、冒頭10分で崩壊。

主役のエブリンが、確定申告のために国税局担当者のもとへ向かった日、同伴の夫が豹変する。

いきなり眼鏡を外して、「僕は、マルチバースに存在する別のウェイモンドだ!」とエブリンに語りだすのだ。

しかもその後、駆けつけた警備員相手にバトルを繰り広げる始末。

僕は、この突飛な展開を素直に受け取れたかどうかで、この映画に対する評価が分かれると思う。

素直に受け取って楽しめた人は、その後の、めくるめくマルチバースワールドに酔いしれることができるだろう。

しかし…。

あまりの唐突さに意味不明だと思ってしまった人は、マルチバースの世界観を理解できるまで、物語に没入できない気がする。

僕は、後者の人間だった。

いったいなぜマルチバースが存在するのか、他世界にジャンプする意味は何なのか、僕は頭が混乱するばかりで、何が何やらわからなくなってしまったのだ。

物語は、マルチバースを行き来しながら進むため、その世界観が受け入れられない人にとっては、本当に辛い。

僕は、この話の軸は、いったいなんなんだ?という戸惑いから抜け出せず、だから、ひたすら退屈だった。

行ったり来たりを繰り返す後半は、クドいとしか思えず、僕は、睡魔と戦うことになる。

「RRR」では、180分の長尺が短く感じたのに、この映画の140分は、苦行としか言えなかった。

もちろん、オスカー7冠に輝くほどの作品なのだから、名作なのだろう。

その世界観を理解できる人にとっては、短く感じるのかもしれない。

エブリンやウェイモンドのカンフーはキレキレだし、マルチバースの切り替えも凄まじく、何本もの映画を並行して見ているような錯覚さえ覚える。

苦行に思えたのは、僕の理解力と感受性の鈍さによるもので、素晴らしい映画なのだろう、きっと。

ただ、僕の見た上映回では、2時間を超える辺りで、何人もの人が退席していたから、「人を選ぶ」映画であることは間違いない。

これからこの映画を見ようと思っている人は、事前に、ネタバレ無しのレビューなどを見て、自分の肌に合う映画なのかどうか確かめた方がいいと思う。

 


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