それは、郵便受けにさりげなく投げ込まれていた。
封筒は、かなり傷みが激しく、ところどころが補修されている状態。
どうやら、郵便局にて補修してくれたようで、表面には、こんな断り書きのシールが貼付されていた。
しかし、僕は、全く気にならなかった。
内容物まで傷んでいる感じではなかったし、差出人名のドイツ語表記を見た途端、遂に「アレ」が届いたんだ!という喜びの方が大きかったからだ。
僕は、少し前からその到着を待ち侘びていたため、海を超えてきてくれた贈り物に、感謝の気持ちでいっぱいだった。
開封。
はたして、その内容物は、予想通りだった。
ベルリンマラソン2017の記念冊子と…。
公式記録証だった。
タイム的には…だけれど、今の僕には、これで精一杯。
でも、記録なんかどうでもいいのだ。僕にとっては、今年、ベルリンの街を走れた記憶の方が断然重要。
小冊子には、そんな楽しい記憶が甦ってくる素晴らしい写真が満載だった。
僕は、それを眺めて、心に誓った。
いつかまた、必ずベルリンマラソンに出場しよう。そして、その時は、気持ちいい記録が残せるように走り抜こう、と。