足柄峠での「ランニング・クイーン!」を終え、僕が向かった先は…。
立川だった。
僕がここへ来るのは、大雪になった2月の日以来だ。
あの日、僕はここで、8回目の「ボヘミアン・ラプソディ」を堪能したが、今回も、訪問目的は同じ。
そう。
立川シネマシティで、「ボヘミアン・ラプソディ」を堪能するためだった。
もちろん今回も、ライブスタイル。
そして、もちろん今回も満席。
例によって、Webでの前売り時点では、a studioの386席が瞬殺になってしまった、プラチナチケットだ。
「ボヘミアン・ラプソディ」を僕が見るのは、これで11回目。
2月にここへ来た時は8回目の鑑賞だったが、その後、成田ウェンブリー、川崎ウェンブリーと巡った。
成田も川崎もとびきり最高のライブだったが、今回、立川に参加してみて、やっぱり僕はここが無敵だと思った。
いったい、なぜ、無敵だと思うのか。
その理由を僕なりに書かせていただこう。
ライブハウスを彷彿させる音響
「極上音響上映」という謳い文句は、ダテじゃない。
そのサウンドは、力強く、心地よく響き渡ってくる。
しかも今回は、(ライブ上映に合わせて?)音響メンテナンスを行ったとのことで、さらに進化を遂げていた。
成田や川崎のライブ上映も甲乙つけがたいが、ノリが少し違う。その「箱」がとにかく大きいからだ。
どちらも500席超の座席数と広大なスクリーンを有しているためか、必然的に、その音響も、《スタジアム》的な広がりを感じるものになる。
ラストのライブエイドは、まさに《スタジアム》で行われているため、親和性が高く、盛り上がりも凄まじい。
その点立川は、「箱」がコンパクトなぶん、《スタジアム》の広さ、凄さの再現性に関しては、僅かながら及ばない気がする。
ただ、映画全体を考えた場合、クイーンの歌が流れるシーン、ライブシーンは、他にも沢山ある。
それらの音に関しては、ここ立川の、コンパクトな《ライブハウス》的音響が、実にぴったり合う気がするのだ。
シネマシティズン制度が凄い!
立川シネマシティには、「シネマシティズン」と呼ばれる会員制度がある。何よりこれがとってもお得。
その会費は、6ヶ月で500円、1年で1,000円。
それさえ払えば、「いつでも」割引になるのが大きな魅力だ。
土日祝の鑑賞でも1,300円なので、6ヶ月会費(500円)を払えば、通常上映料金(1,800円)との差額が賄える。
しかも平日は、なんと、「いつでも」1,000円だ。
大手シネコン系の会員システムでも、曜日によっては割引だったり、鑑賞ポイントをつけているところがあるが、「いつでも」割引という魅力は、それを大いに凌いでいると思う。
Webによる座席予約も、1日前から可能。
「ボヘミアン・ラプソディ」ライブは、会員枠だけで瞬殺になってしまうため、入会はマストだし、入らないでいる理由がない。
前述の通り、1回行けば、会費の元はとれるため、入会して損をすることはないからだ。
会員システムでは、ドリンク&フードセットの割引など、各種サービスも充実。
さらに…。
この4月から、「次世代ファン育成計画」として、24歳以下のシネマシティズン会費が大幅に下がった。
シニア割というのはよくあるが、若者割というのは非常に珍しい。
僕は、もうシニアに近づいた世代なので、その恩恵に預かれないが、このシステムには、好感を覚えている。
《映画界の将来》を見据えたものだと思えるからだ。
これに伴い、シニア系の割引はなくなってしまった。が…。
しばらくは「サービス移行キャンペーン」として、シニア向けの新サービスも打ち出された。
この辺りの目配り、心遣いが、実に素敵だなぁと思う。
コンパクト&シャープな前説
「ボヘミアン・ラプソディ」のライブ上映は、特殊な上映方式であるためか、上映前に《前説》が入る。
このような上映ルールを、観客全員に理解してもらうためだ。
これらのルールは、成田でも、川崎でも同様に設けられているが、劇場によって、それは微妙に異なっている。
立川は、ライブエイド部分以外スタンディング禁止(成田、川崎は途中もあり)だし、サイリウム等の使用は不可(成田はあり、川崎は不可。)。
この辺りの違いについては、好みによるかもしれないが、個人的には、立川スタイルが気に入っている。
「ボヘミアン・ラプソディ」は《最高のライブ》であるが、その前に、《極上の映画》でもある。
そう考えた時、ライブエイド部分以外は、着席でゆったりストーリーを堪能したいし、サイリウムの光は邪魔だと思うからだ。
独自ルールを伝える前説のスムーズさについては、立川が図抜けて素晴らしい。
笑わせどころも心得ていて、観客との呼吸もピタリ。
会場の空気をしっかり温めつつ、かつ、コンパクトな説明でダラダラしない。
さぁ、いよいよ、また、クイーンのライブが始まるんだ!という思いにさせてくれる、極上の前説だ。
そしてさらに、凄いのは…。
予告編&余計なCMなし!で本編スタート!!
いやはや、なんと言っても、これが本当に素晴らしい。
成田や川崎では、前説後に、予告編やCMがダラダラと流れ始めるので、折角暖まった空気が、いったんリセットされてしまう。
予告編ならまだしも、結婚式場のCMなんかも流れたりするので、僕は、大いに興ざめしてしまったほどだ。
しかし、立川シネマシティでのライブスタイル上映は、そうじゃない。
前説が終わってすぐに、「あの」特別なファンファーレ*1が始まる。
いやはやこの流れが、本当に、超絶的に素晴らしい。
広告収入を捨てて、ファンのニーズ、ウォンツをしっかり汲み取っている。
映画ファンの気持ちに立った、本当に「わかっている」劇場なのだ。立川シネマシティは。
WIN&WINのチケット予約システム
今回、僕は、足柄峠から立川へ参戦した。
…が、これは「当初からの計画」だったわけではない。
僕は、先週半ばの深夜に展開された、チケット獲得競争に参加していなかったからだ。
いつものように、ライブチケットは瞬殺で満席になっていたため、僕は、今回参加できないと思っていた。
しかし、参加できる可能性が皆無になったわけではない。
シネマシティのWeb座席予約システムは、いったん予約が完了したあとでも、上映開始時刻20分前までキャンセルが可能。
そのため、キャンセル発生で座席復活の可能性があるからだ。
そう。それならば…。
2月の時と同様、キャンセル枠が出るかもしれない!
あの日、僕は、「雪だから、たまたまキャンセルが出た」のだと思ったが、よく考えれば、キャンセル理由は、他にもあり得る。
当日の体調不良、仕事の都合、急用の発生…などなど。
もちろん、雪の日に比べれば少ないかもしれないが、386席もあれば、何人かは都合の悪くなる人は絶対にいる!
と、僕は信じて峠に向かった。
行きの電車の中で、僕は、何度も何度も、シネマシティのWebサイトをチェック。この時点では満席のままだった。
しかし、僕は諦めていなかった。
クイーンの音楽に酔いしれながら、足柄峠を登って下り、そして、再びWebサイトをチェックしてみると…。
おぉぉ、後方に空席がある!
僕は、峠の麓で、思わず快哉の雄叫びをあげそうになった。
もちろん、すぐに確保。
下山後、僕に訪れたサプライズとは、これだった。
信じる物は救われる。
峠走で、僕をずっと支えてくれたクイーンの音楽を、すぐにライブ体験できる幸せ。たまらない。
ということで僕は、麓で販売していた、餃子のまがい物(ギョウザドッグ)を振り切り、一目散で駅へと向かったのだ。
山北から立川へ向かう電車の車内でも、僕は何度も立川シネマシティのWebサイトをチェック。
席は、ふたたび満席になっていたが、僕は、さらなる可能性を信じた。
上映開始時刻20分前までキャンセルが可能…ということは、20分前に近づけば近づくほど、《ドタキャン》があり得る。
と、思ったのだ。
果たして、僕の読みは当たった。上映1時間前ぐらいになると…。
大量の空席が発生!
その中でも、《前方かつ中央辺り》という、極上中の極上席「H-9番」が空いている!!
僕は、あらたな争奪戦を勝ち抜くべく、発見後すぐに後方席をキャンセルして、この席を指定。
そして…。
ゲット!
いやはや嬉しい。本当に嬉しかったなぁ。
この「直前20分前までキャンセル可能」というシステムは、本当に素晴らしい。
大手シネコンなどでは、未だに《いったん確定(購入)した席は、いかなる理由があろうともキャンセル不可》というところが多い。
だから僕は、座席を予約したくとも、予定の入る可能性がある時間帯については、見送ることが多かった。絶対確実に行けるときじゃないと、チケットが無駄になってしまうからだ。
ただ、慎重に決めたつもりでも、直前に急用が入ることもあり、これまで何回か泣いたことを思い出す。
しかし。
立川シネマシティなら、その心配はいらない。
とりあえず行けそうな時間帯に予約しておいて、急用などが入ったら、キャンセルすればいいからだ。
そう考えると、色々何でも予約したくなる、見に行きたくなる。
予約の際の、精神的ハードルが大いに下がって素晴らしい。
事前予約ができず、満席に泣いていた人たちにとっても、「キャンセル席発生」で、いい席にありつける可能性がある。
まさに、映画ファンの立場に立った、座席を無駄にしない、WIN-WINのシステムなのだ。これは。
結論
立川シネマシティは、本当に、映画ファンのことをよくわかっている。
特に、「ボヘミアン・ラプソディ」ライブ鑑賞に関しては無敵で、シネマシティズン会員になって、心から良かったと思っている。
超、超、超オススメだ。
*1:ブライアン・メイとロジャー・テイラーが、この映画のために新録したクイーン・バージョン