昨日。11月2日の早朝。
僕は、久しぶりに足柄峠の麓に佇んでいた。
天気は、申し分のない秋晴れ。
空気も澄んでいて、涼しく、最高に清々しい朝だ。
僕がここを訪れるのは、今年の四月以来。
あの時は、桜に癒やされながら、気持ちよく走り抜けたことを思い出す。
僕は、今回も気持ちよく走れると思ったし、さらに期待していたことがあった。
足柄峠走のゴール地点、足柄万葉公園にある「希望の丘」からは、富士山を見渡すことができる。
最近は、雲がかかっていて見られないことが多かったのだけれど、今日こそは、素晴らしい富士山を眺められる!と、思っていたのだ。
ということで、僕は、やおら登りだす。
いつになく足が軽い。呼吸もそんなに苦しくない。この調子なら、峠走歴8年目にして、初めて、歩かずに頂上までたどり着けるんじゃないか?
そんな思いさえ、抱いた。
ところが…。坂の途中に、悪夢が待っていた。
麓からの9km地点直前。
僕が、峠走時にいつも定点チェックしている、気温表示板のある場所で、僕は、衝撃の情景を目にする。
気温は、11℃。
ランニングするには申し分のない条件で、この気温ならば、ここから先も、気分良く走っていくことができる筈だった。
気温表示板の手前に、こんなトラップがなければ…。
この先、土砂崩れ通行止め。
あぁ…。僕は、自分の馬鹿さ加減を呪った。
どうして気がつかなかったのだろう。
「あの」台風19号は、関東各地に甚大な被害をもたらした。
だから。
山岳地帯での土砂崩れは、当然あり得るシチュエーションだったのだ。
あれから、まだ3週間しか経っていないのだから、回復していなくても、全く不思議はない。
事前に下調べさえしておけば、足柄峠走などできないことは、チェックできた。
だからこれは、完全に僕のミス。痛恨の失態だ。
あぁ、早朝から何時間もかけて、ここまでやってきたというのになぁ…。
僕は、「通行止め」看板の前で、大きく溜息をついた。
しかし、悔やんでばかりいても始まらない。
山頂までは行けなくなってしまったものの、それでも十分登ってはきている。
だから思いっきり下っていけば、スピード練習にはなる筈だ、と。
そして、その推論は間違ってはいなかった。
昨日の高度推移。
通行止めさえなければ、700メートル以上まで登るため、それに比べれば物足りない。
しかし、街なかでは、ここまでの坂道練習はできないので、そう考えれば決して無駄ではない。
そして…。
下りでは、キロ4分20秒台で走ることもできた。
チームはてブロの皆さんには「下り坂でそんなタイムしか出せないのか?」と、笑われるかもしれない。
けれど、鈍足の僕にとっては、十分に快速と言えるペースで、いい練習になったと思う。
頂上まではいけなくても、17kmを気持ちよく走れたので、個人的には満足している。
でも、次回、この地を訪れる時は、やっぱり、足柄万葉公園までたどり着きたい。