やっぱり、これを書かずにいられない。
GPD Pocketの話も、豚八戒の話も、中途半端に引っ張って止まっているし、ランニングのことだって書きたいことは色々ある。
しかし、僕にとって、子供の頃から特別の存在だった筒井康隆先生の新作、そして新刊が登場となれば、もちろんそちらが優先だ。
昨日。8月7日。
ツツイスト*1なら絶対に見逃せない、「文學界」の最新号が、ついに発売となった。
そう、この号には、筒井先生二年ぶりの最新作が掲載されているのだ。
「偽文士日碌」5月2日の回で、「久しぶりに新たな小説の着想を得た」と書かれていた時から、ずっと楽しみにしていた新作、待ちに待った「漸然山脈」。
僕は、会社帰り、暴風雨に心折れそうになりながらも、都内大手書店に向かい、それをゲット。いやはや感動だった。
文學界2017年9月号
「筒井康隆 漸然山脈」という文字は、「文學界」表紙の中で、一番大きな活字で掲載されている上に、別途、雑誌タイトル上にも表記されていて、別格の扱い。
もちろん、雑誌の巻頭に掲載だ。これが喜ばずにいられようか。
ということで、早速読んでみて、これまた驚愕。いやはや、なんという実験作だろう、これは。
筒井先生の作風は、とても幅広く、特定の枠に収めることはできないけれど、こと、「言語実験」作品は特別で、初期作品からずっと、さまざまな形で、僕らを驚かせてくれた。
今回の最新作は、まさに、その新たなる地平。
僕は、もう既に何回も読み直しているが、読むたびに発見があり、驚愕が深まる。僕は、まだこの作品の凄さを理解しきれているとは思えないので、今後も読み返し続けるつもりだ。
この作品には、挿入曲である「ラ・シュビドゥンドゥン」(作詞作曲:筒井康隆)の歌詞と楽譜も掲載されている。
この曲を、山下洋輔氏のピアノで筒井先生が歌う!
そんな夢のような映像が、YouTubeに配信されるという情報もあるので、僕は、それも楽しみで仕方がない。
そして。
昨日は、そんな筒井先生の初期傑作を集めた新刊も、書店店頭に並んでいた。
と、いうことで…。
日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル
もちろんゲット!
ハヤカワ文庫の表紙に、デカデカと描かれた
筒井康隆
という文字に興奮する。僕は、子供の頃から、この名前を目にするだけでワクワクしたのだ。そんな思いは、今になっても変わらない。
掲載作品は、以下の25作。
- お紺昇天
- 東海道戦争
- マグロマル
- カメロイド文部省
- トラブル
- 火星のツァラトゥストラ
- 最高級有機質肥料
- ベトナム観光公社
- アルファルファ作戦
- 近所迷惑
- 腸はどこへ行った
- 人口九千九百億
- わが良き狼
- フル・ネルソン
- たぬきの方程式
- ビタミン
- 郵性省
- おれに関する噂
- デマ
- 佇むひと
- バブリング創世記
- 蟹甲癬
- こぶ天才
- 顔面崩壊
- 最悪の接触
いやはや、どれもこれも傑作ばかりで、その作品名を眺めているだけで、僕は興奮してしまう。
この作品集には、筒井先生のあとがきが掲載されていて、先生は、収録作品の実験精神について言及されている。
僕はそれが、非常に興味深かった。
この作品集には、当時の「SFマガジン」に掲載された、言語実験精神に溢れたものが数多く含まれている。
僕は、当時のリアルタイムな読者ではなかったけれど、筒井先生が、まさに、当時のSFの裾野を広げてくださったんだなぁと思わずにいられない。
筒井先生は、そのあとがきで、「漸然山脈」についても書かれており、その類いまれな言語実験精神が、初期から最新作まで続いていることを伺うことができる。
日下三蔵氏による編者解説がこれまた素晴らしく、これも、筒井ファン必携必読の一冊だ。
*1:筒井康隆先生に心酔し、その作品をこよなく愛する者。