1年半前。その猫は突然現れた。
僕は、毎日、目覚めるとすぐ、近所のランニングロードを走っていたが、その途中にある公園のテーブルの上に、ちょこんと姿を見せたのだ。
あの時の感動は、今でも忘れない。
近寄っていっても、撫でても逃げない、とても人なつっこい猫だった。
それから僕は、この猫と会うのが楽しみになった。
夜明け前に走るのは、ランニングが目的なのか、猫を愛でるのが目的なのかわからなくなるほど、僕は、この猫が好きになった。
その後、ちょっとした紆余曲折があり、猫はいったん姿を消してしまうのだけれど…。
しばらくして、突如再会できた時は、本当に感動したことを思い出す。
その後、猫は、日によって、その公園にいたりいなかったりを繰り返していたけれど、それがまた、楽しかった。
「今日、あの猫はいるだろうか?」と思いながら、公園に向かって走るのは、とてもドキドキしたし、そんな思いを抱かせてくれるだけで、僕はとても幸せだった。
雨の日は、きっといないだろうなぁと思って走っていると…。
ベンチの下で、雨を凌いでいたこともあった。
だから、どんな日だって、猫に会える可能性を信じながら、僕は走っていたのだ。
会えない日が続いても大丈夫。
その分、再会できた時の感動もひとしおだったし、猫も、そんな僕の思いに応えて…。
僕の膝の上にしがみついてくれたりした。
いやはや愛しくてたまらなかった。
真冬の時期になると、猫は、公園のテーブル上から姿を消してしまった。
しかし…。
公園の近くにある、発電台(?)みたいなものの上に乗っていることがあった。
テーブルの上よりは多少暖かいのか、その上で、なんとか耐えているように見えた。
寒さが厳しくなってくると、さすがにここにも現れないことが多くなってしまったが…。
去年の今日、2月22日は、いた!
今朝と同じく、とっても寒い朝だったが、現れてくれて、とても嬉しかったことを思い出す。
夜明け前ランだん。
— 壱蔵 (@ICHIZO) 2016年2月21日
いやはや、今日はとっても寒い。風も強くてきつかった。
でも…今日はいつもの猫がいた!ので、走ってよかった(^^)
今日は、222(ニャンニャンニャン)で猫の日だから、出てきてくれたのだろうかw pic.twitter.com/dIVjAtmsfu
その時の感動は、僕のつぶやきにちゃんと残っている。
だから。
今日は、あの猫がいた懐かしい公園まで走ってみることにした。
最近は、ちょっと、ランニングコースを変えていたので、そこに向かうのは、本当に久しぶりだったのだ。
今日も、本当に寒かったけれど、僕は、去年の感動を思い出しながら走った。
しかし、もちろん…。
あの猫はいる筈もなかった。
そう、僕の大好きだったあの猫は、もう、公園から消えてしまっていたからだ。
別れの理由は、猫好きの女性が、飼い猫として保護してしまったため。
だから、あの猫にとっては幸せなことだったのだろうし、きっと楽しい日々を送ってくれているものと信じている。
ただ、やっぱり僕は、ちょっと寂しくなってしまった。
折角、猫の日なのになぁ…。