ニューヨーク、カーネギーホール。
音楽好きであれば知らない人はいない、まさに、音楽の殿堂、聖地だ。
これまで、数えきれないぐらい、クラシックやポップスの名演が行われてきている。
そんなカーネギーホールを、絶世の音痴(?)マダムが満員に…?
信じられないような話。しかし、れっきとした実話が、この映画のメインストーリーだった。
ハリウッドきっての名女優、オスカーを3度も受賞したメリル・ストリープが、このマダム役を演じるということで、僕は大いに気になった。
と言うことで、見に行くことにした。
…実に心が洗われる111分。いやぁ、これは素晴らしい話だ。
メリル・ストリープの演じるマダムは、「大富豪」という設定。だから、たとえ彼女がどんなに音痴であっても、誰も、それを指摘しない。それどころか、音楽会後は称賛の嵐になる。
ヒュー・グラント演ずる夫が、会の出席者を厳選し、さらに、公演前に入念な根回しを行っているからだ。
ピュアなマダムは、それを真に受けて、「自分は歌がうまい」と勘違いしてしまう。
…これだけだと、金にものを言わせた、単なる裸の王様話じゃないかと思われるかもしれない。
しかし、この映画は、そんな単純な話ではなかった。
マダムの夫は、外に愛人を持っていた。マダムには、とても悲しい過去があり、それが、夫婦関係にも大きく響いていたのだ。
しかし、夫はマダムを間違いなく愛しており、マダムも夫を愛していた。
だから、とあるきっかけから、マダムが、「カーネギーホールで歌いたい」という突拍子もない希望を言い出し、それを実現させた時も、夫は、渾身の努力で、マダムのプライドが傷つかないように調整する。
ところが…。
これ以上はネタバレになってしまうので書かないけれど、本当にこれはいい話だった。
メリル・ストリープは、本来、歌のうまい女優なのだけれど、見事に音痴のマダムを演じきっていた。
実話ベースの映画なので、エンドロールでは、「本当の」フローレンスの歌声が流れるのだけれど、この声とそっくり!
流石、メリル・ストリープだなぁとしか言えない。
夫を演じるヒュー・グラントも好演。いくつになってもダンディさは相変わらずで、何を演じても同じ役のように見えてしまうことが多いのだけれど、この映画の役には、とても嵌っていたように思う。
パンフレットも購入。
12月、クリスマスシーズンのNYを彷彿させる、華やかな表紙だ。
とっても素敵なマダムフローレンス。
メリル・ストリープはやっぱり上手い。そして、ヒュー・グラントのダンディっぷりも光る。
パンフレットには、実話の裏話も満載。
いやぁ、凄い歌姫だったのだなぁと、あらためて思った。

- 作者: ダリル・W.ブロック,Darryl W. Bullock,篠儀直子
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2016/03/02
- メディア: 単行本
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関連本も発売されているようで、ぜひ読んでみたくなった。