それからやってきたのは、まさに、驚異の餃子尽くしだった。
餃子は、多種多彩な具を入れることが可能だから、「尽くし」企画には向いた料理なのだけれど、具をすっぽりと包んでしまうため、外からは区別がつきにくい。
だから、例えば、新橋「一味玲玲」の餃子などは、ブログでの紹介に苦労する。
僕は大好きな店なので、これまで、何度もエントリーで取り上げているのだけれど…。
十数種類ある餃子の、区別がつかない*1からだ。
しかし、今回の店、「帆」は違った。
圧巻の餃子ビジュアルに刮目!
餃子の具によって、その「カタチ」が大きく異なっていたからだ。
そう、こんな感じ。
同じ「水餃子」という種類であっても、餃子によって包み方を変えている。だから、ビジュアル的にも楽しい。
今、こうやって写真を眺めていると、それぞれの味の記憶が甦えってくる。
しかも、これが、今回の餃子尽くしの全てではないのだから、驚くばかり。*2
以下は、それぞれの餃子たちを、記憶とメモに頼りながら、簡単に紹介させていただくことにしよう。
帆立の餃子
ぷくっとした可愛い形の餃子。
その中には、帆立がごろんと一個まるごと入っている。
食べた瞬間思ったことは、その甘さ。帆立の甘さが、うまく引き出されているのだろう…と、この時は思った。
すり身、ニラ、玉ねぎの餃子
これも実に、独特な形状、そして、独特な味だった。
中身の具を撮影し損なってしまったが、蒲鉾のようなすり身と、ニラ、玉ねぎが見事に調和している。
これも、実に甘い餃子。
黄ニラと海老の餃子
前2種に比べると、普通の餃子の包み方に近い。
…が、ちょっと違う。そして、中身も違った。
黄ニラと海老が調和した、優しい味わい。これもほんのり甘かった。
のっけから、海鮮系の水餃子三連発。ここまででも、僕は十分驚いていたが、まだまだこれは序の口だった。
クルミの餃子
齧った瞬間、独特の食感があった。なんと、クルミが入っているのだ!
食べる前、店員に餃子の中身を聞いたところ、「なずなの餃子です」と言われていた。
だから僕は、なずなの味わいをイメージしていたので、クルミの食感にちょっと驚いた。
こんな感じで、ごろっと入っている。
なずなの餃子…というよりもクルミ餃子。他の具材も、前3種の海鮮系とは一転。ザクザクして食べごたえがあった。
僕はクルミが大好きなのだけれど、餃子の具として食べたのは初めてで、とても新鮮な食感。そして、これもまた甘く、美味しかった。
松の実と黒ゴマの餃子
写真でも、その黒さが伝わってくる。
その中身は、ぎっしりとした黒ゴマ。
これまでの餃子も甘めではあったが、これは「甘め」なんてもんじゃない。思いっきり甘い。甘すぎる。
餃子…というよりも、ゴマ団子を食べているような感覚。これは、スイーツ餃子だ。
コースの最後に、デザートとして出てきたら納得だったのだけれど、この段階で出てくるとは思わなかったので、僕らはちょっと驚いた。
キムチ餃子
一転。
5皿目にして、ようやく「甘くない」餃子がやってきた。
キムチ餃子ということで、その外見からも、赤味が感じられ、その辛さが伝わってくるようだった。
中には、しっかりとキムチが入っていた。
…が、それほど辛くない。それまでの甘い餃子連発で、舌が麻痺してしまっていたのか、あるいは、このキムチも甘めなのか、皮が甘いせいなのか不明。
決して美味しくないわけではなかったが、辛さを期待していたので、ちょっと拍子抜けしてしまった感はある。
ネギパクチー餃子
今度のメイン具材は、パクチー。
パクチー料理は、「今年の一皿」に選ばれ、今は旬。餃界でもパクチー餃子を出す店が増えてきた。
独特な味なので、好き嫌いがわかれる食材ではあるが、僕は大好きなので、大いに期待した。
具には、パクチーやネギ、黄ニラとともに、干しエビがたっぷり入っていた。
パクチーの主張は思ったほど強くなく、干しエビがいい仕事をしているので、これなら、パクチーが苦手な人でもいけるんじゃないか…?と思った。
なずなの餃子
帽子のような…UFOのような…これまた独特な形状。
店員は、「クルミの餃子です」と言って持ってきた。クルミはさっき出たのに、また…?と思って食べたら、クルミは入っていなかった。
前述のクルミ餃子は、店員から「なずな餃子」と言われたのだけど、なずな感は全くなかったので、おそらく、この2つを取り違えたのだろうと、僕らは納得した。
具材のインパクトとしては、ちょっとおとなしめで、普通の野菜餃子という感じだったけれど、皮の美味しさを堪能できる感じだった。
と。
ここまで8種類は、全て水餃子。
具材も包み方も、大きく異なっているため、飽きることはなかったのだけれど、「餃子尽くし」である以上、他の調理方法での餃子も食べてみたかった。
そんな渇望に応えるべく(?)9種類目にして、ようやく、別タイプの餃子がやってきた。
うずらの卵の揚餃子
中央が膨らんだ、独特な形状。
これには理由があって、中には、ごろんと1個うずらの卵が入っていた。
卵の周りには魚のすり身も入っていて、いいアクセントになっている。
いやはや、そのカタチといい、具といい、ひとつひとつが本当に工夫されているなぁ…。
餃子尽くしコースで出てくる餃子は10種類と言われていたため、残すは、あと1種類。
僕らはここまでの餃子で、その工夫っぷりに感服。もはやどんな形の餃子が出てきても驚かない…と思っていた。
が、その読みは大きく外れた。
コースの最後、トリを飾った餃子は、さらに大きな衝撃を僕らにもたらしたからだ。