国道20号線、日野バイパス。
僕は、しばらくの間、この道を淡々と進んだ。
ジャンボギョーザでスタミナを補給したし、あとは、最終目的地に向かうだけ。楽勝…の筈だった。
しかし。なんだかんだでここまで40km超を走ってきていたため、身体は想定以上に疲れていた。スピードがまるで出ない。
おまけに、結構アップダウンのある道なので、かなりしんどくなってきた。
走り始めた時、僕は、計算上、ランチタイムの開始時間より早く着きすぎてしまうんじゃないかと心配ししていた。*1
しかし、そんな心配が嘘のように、走っている途中で、12時のアラームが鳴った。
何とか八王子駅までは辿り着いたが、僕が目指していたのは、その先だったので、そこからがまた苦しかった。
しかし…。
到着!
この看板を見た時は、ようやく辿りいつたのだなぁという思いで、ほっとした。
「発酵餃子 カフェ酵素屋」
餃子屋なのに、カフェ。「発酵」「酵素」という、何だか身体によさそうなフレーズ。
予備知識は殆どなかったのだけれど、なんだか、その不思議な店名に惹かれて、僕は、ここまで走ることに決めたのだ。
いやはや、しかし、長かった。
なんだかなんだで55km。
やっぱり、池袋から西八王子までの道程は、ハンパじゃなかった。しかし、そのロングランも、これでようやくフィニッシュだ。
店内は、お洒落な空間で、凡そ餃子屋とは思えない。
イベントスペースも兼ねているお店のようで、入口付近の席は、そのためのものになっているようだ。
僕は、店の奥まで進んで、カウンターに着席。
餃子の種類は、茹で、焼き、スープの3種類。
このうちひとつと、塩麹スープ、漬物、酵素ドリンクがついた発酵餃子定食が1,000円だったので、それを注文することに決めた。
が…。
茹で、か、焼き、かで大いに迷う。
西八王子まではなかなか遠征できないので、折角だから、どちらも食べたい。発酵餃子定食に、餃子をさらに追加するかなぁ…と悩んだ。
そんな逡巡の合間、マスターは、僕に、「走っていらっしゃったんですか」と尋ねた。
僕は、ランニングスタイルで店に飛び込んだので、まぁ、自然な流れの会話だった。
が、そこから先は、全く自然ではなくなった。
僕が、「はい。池袋から走ってきました。」と、答えたからだ。
その途端、マスターの驚きようといったら!
僕は、「途中で餃子エイド何軒も寄ってきましたから、大丈夫です。」と答えたものの、それでも、驚きは収まらないようだった。
マスターには、ランや餃子の話などを興味深く聞いていただき、最終目的地として、自分の店まで来てくれた、ということにとても感謝された。
その結果…。
セットメニューの酵素ドリンクが、2杯!になった。
僕が注文したのは、ブルーベリーシロップの豆乳割りだったのだけれど、「わざわざこここまで走ってきてくれたのだから…。」と、梨シロップのサワー割りをサービスでつけてくれたのだ。
どちらも、実に優しく、癒される味だった。そのまま飲んでも美味しかったが、かき混ぜると、果実の味わいが溢れてくる。最高だ。
サービスをしていただいたのは、これだけではなかった。
焼餃子と茹で餃子の選択で迷っていた僕に、マスターは、「お悩みでしたら、ハーフ&ハーフにしましょうか?」との提案をしてくださった。
いやはや嬉しい。僕だけのために、しかも、調理の手間が2倍になるのに…。
僕は、ちょっと申し訳ないと思いつつ、しかし、折角なので、その言葉に甘えることにした。
ここまでサービスしていただけるなら、八王子まで走っていくのも悪くないw
そして。
餃子が来たーっ!
それほど大ぶりではないけれど、ひとめで、丁寧に作られたことがわかる餃子だ。
焼餃子。
皮はサクサク、そしてもちもちでバランスがとれており、その具はとってもジューシー。一口囓ると、肉の旨味が溢れ出す。
発酵調味料と発酵漬物で味付けしているということで、そのせいか、深みのある味わいを感じた。
水餃子。
皮も、具も、焼餃子と同じものだと思うのだけれど、とってももちもちで、違った味わいを醸し出していた。
トッピングのネギもいい。
一緒についてきたタレも「秘伝発酵タレ」ということで、確かに、それがぴったり合った。
定食のごはん、漬物、そして、塩麹のスープ。
これらも、主役の餃子を引き立てるべく、良い仕事をしている。特にスープは最高だった。
僕は、ここを最終目的地に選んだことは間違いじゃなかった、と思った。
55kmランはとっても疲れたけれど、実に居心地のいい空間で、美味しい定食に心癒されたからだ。
僕の生活圏から西八王子はなかなか遠いので、電車であってもなかなか出向くことは難しい。
しかし、とっても癒される店なので、心がちょっと疲れたら、酵素を求めて遠征しようと思う。
*1:その理由もあったので、途中、井の頭公園で時間調整的に走った。