なんという強さだろう。
僕は、この映画を見ている間、何度も唸った。
時は、1940年代~50年代のハリウッド。古き良き、映画全盛時代の実話をベースにした物語。「ローマの休日」を初めとした名作の裏側に、まさかこんな物語があったとは。
僕は大いに驚いた。
当時は、東西冷戦状況の中で、大きな思想弾圧があり、娯楽の花形だった映画界は格好のターゲットになった。
主人公であるトランボは、圧倒的な才能がありながら、共産主義者であるがゆえに、不当な弾圧や裏切りを受け精神的にも、肉体的にも、相当苦しかった筈。
僕だったら、とても耐えられない過酷な状況だ。
しかし…。
細かいことはネタバレになるので書かないけれど、「才能」があるというのは、本当に素晴らしいことなのだと、僕は思った。
自分の才能を信じているからこそ、どんな状況にあっても、自分を信じ、乗り越えていくことができるのだ、と。
パンフレットも、もちろん購入。
こういった実話ベース映画のパンフレットは、その背景などが細かく書かれていることが多いので、非常に楽しめる。
今回も、「本物の」トランボ写真や経歴、冷戦とハリウッドの関係を対比させた年表などが掲載されていて、とても興味深く読んだ。
ダルトン・トランボ: ハリウッドのブラックリストに挙げられた男
- 作者: ジェニファーワーナー,Jennifer Warner,梓澤登
- 出版社/メーカー: 七つ森書館
- 発売日: 2016/07/25
- メディア: 単行本
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トランボに関しては、こういった伝記本も出ているようなので、ちょっと読んでみたくなった。
キャストも素晴らしかった。
主演のブライアン・クランストンは、TVドラマの「ブレイキング・バッド」でブレイクした旬の俳優だ。「ブレイキング・バッド」と全く違った形ではあるけれど、《頑固一徹》なところは共通していて、いい味を出している。
妻のダイアン・レイン、娘のエル・ファニングも良かったが、何と言っても、トランボを追い詰める、ヘレン・ミレンの嫌味な役がたまらなくてゾクゾクした。流石はオスカー女優。
とてもいい映画だと思うのに、上映館が少なくて、見に行くのにはちょっと苦労したし、映画を見終わって劇場を出たら台風直撃で、ずぶ濡れになってしまった。
でも、見に行ってよかった。