(承前)
ピピピッ。
またか、と僕は思った。腕のGarminが鳴らす音。80kmを過ぎた辺りから発生、90kmを過ぎると、それが頻繁に起きるようになった。音とともに、バッテリ切れが近いとの警告メッセージ。ただ、あと何パーセント残っているかは不明だ*1。
もしかすると、メニュー画面などから辿っていけば、残量を確認する方法があったのかもしれないが、走りながらそんなことをしている余裕はない。だから、それ以降、バッテリ切れ不安と戦いながらのランになった。
それまで僕は、Garminのラップを頼りに走り続けてきたから、どうにもこうにも不安が募る。
サロマの時は、90km地点でGarmin220Jから410に襷を繋いで乗り切った。今回もレストステーションで410を受け取っているので、同じ方法をとることは可能だった。
しかし、僕はどうにも気乗りがしなかった。トータルラップはわからなくなるし、220Jに使い慣れてしまった身に、410の操作性はどうにも不便だったからだ。
僕は、サロマ後に書いたエントリーを思い出していた。
90km地点までに僕がかかった時間は、220Jの走行記録によれば、9時間46分58秒。公称での駆動時間(10時間)まで、15分を切っている。
だからこそ410にバトンを繋いだのだけれど、18%も残っているとわかっていれば、繋ぐ必要はなかった。単純計算すると、なんと12時間以上保つ(!)ことになるからだ。バッテリが12時間以上保つのならば、交換する必要は全くなかった。
Garmin220Jだけで乗り切れたかもしれない、サロマ湖100kmウルトラマラソン - 言い捨ての小部屋:
細かい時間までは覚えていなかったけれど、僕の心の中で、結論は出た。
「90kmまで、サロマよりも早いペースで来ている。アクシデントでもない限り、12時間を切れることは確実。ならば、このまま220Jで押し通そう」
そう決めた。
…しかし、結果的にはこれが裏目。96km過ぎ、左腕のGarminは、突如ブラックアウトしてしまったからだ。
そう、こんな感じ。
僕は焦ったが、もう、時すでに遅し。バッテリは尽きてしまったので、もはやGarmin220Jは全く使えない。
ここで410に切り替えることも考えたが、僕はすぐにその考えを打ち消した。410を起動してから衛星を掴むまでに、相当時間がかかるからだ。サロマの時は、確か1km以上走ってもまだ掴まなかった。
あの時はまだ220Jが健在のうちにバトンを繋げたからよかったが、220Jのバッテリが尽きた状態で、410の接続に振り回されるのは勘弁だと思った。
それに。
あとたった4km弱。皇居1周の距離以下だ。ここまでくれば、もう、気力で駆け抜けるだけ。Garminのペースなんて、気にする必要はない。スタート時からのトータルタイムはわからなくなってしまうが、それは410に切り替えたところで同じこと。
それを悟ってからは、話は簡単だった。これまで僕はGarminに依存しすぎていた感もあるので、Garminの助力なしでゴールするのも悪くないとさえ思えてきた。
99km地点、通過!
この直後に控えていた急坂に、ちょっと目眩がしたため、写真がぶれてしまったw
ラストに控えていたハードな坂に、一瞬心が折れそうになったが、ここでも、四万十の方々に助けられた。
僕の名前とともに、「おかえりなさい!」「この坂を越えれば、すぐゴールだよ!」「お疲れさま!」の声、声、声。
僕は、Garminが使えない不自由などもすっかり忘れ、至福の思いに包まれながら、間近に迫ったゴールゲートを目指した。
フィニッシュ!
記録は10時間48分。目標としていた11時間を切れたし、サロマの記録も10分以上縮めて、ウルトラ自己ベスト。素晴らしいコースと応援のおかげだ。
あらためて、心から感謝。
96.54kmで途切れてしまった、Garmin220Jにおける僕の四万十川ウルトラマラソン記録。
10時間18分までは記録してくれているので、バッテリ持続時間公称の10時間は保っている。220Jに罪はない。僕の走力では、時間が足りなかっただけのこと。
来年には、おそらく、スタミナ十分の920XTJを入手している筈(?)なので、次回は万全を期して臨みたい。
ただ、その前に大きく立ちはだかるのが抽選の壁。何とか突破できることを祈るばかりだ。
(完)
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*1:410を使っていた時は、バッテリ残量20%…15%…10%というように警告表示されたのに、なぜ220Jでは、その表示がなくなってしまったのだろう。