ニューヨーク。
その名前を口にするだけで、僕は特別な感慨を覚える。
あの痛ましい911事件の時、僕はマンハッタンにいた。前夜まで、とっても華やかに輝いていた街の情景が一変。色彩と活気を失った。
僕は、ただ、唖然呆然とするばかりだった。たった1日で、世界がこんなに変わる物かと思った。
僕は、単なる旅行者に過ぎなかったのだけれど、その瞬間、その場に居合わせた者として、追悼の思いをずっと抱いていた。
だから、その後数年、毎年911のシーズンに出かけては、現地で黙祷を捧げたこと思い出す。
そして。
3年前のニューヨークシティマラソン。僕がこれまで出場した中で、もっとも記憶に残るマラソン大会だった。あの時の感動は一生忘れられない。
開催時期や出場条件などの制約がとても厳しいレースだけれど、生きているうちに、何とかもう1回は出場したいと思っている。
と。
前置きが長くなってしまった。映画の話だ。
そんな思い入れのある街、ニューヨークを舞台にした映画が、この夏、2本競演されていることを知った。
2本の映画に相関関係はなく、単なる偶然に過ぎないと思うけれど、是非とも両方見なくては、と思った。
まずは、これ。
ジゴロ・イン・ニューヨーク。
他ならぬウディ・アレン出演で、このタイトル。それだけで、もう、ニューヨークファンにはたまらない。
R12指定であり、テーマが大人向きな感じもあったので、会社帰りの夜に鑑賞。
劇場内にはウディ・アレンの実物大(?)スタンドも飾られていた。
今回は、監督も脚本も担当せず、出演者に徹しているけれど、それでも、その存在感を十分に発揮した作品になっていた。アレン演じるマレーの設定が、「店が潰れた本屋の主人」で、それが何と「ポン引き」に転進!というのが面白い。
監督、そして、ジゴロ役のフィオラヴァンテを務めるのがジョン・タトゥーロで、彼も非常に良かったのだけれど、僕は、やっぱり、ウディ・アレンの饒舌っぷりに舌を巻いた。
78歳にして、この元気。素晴らしいなぁ。ウディ・アレン健在なり。そう思った。
ニューヨークの街並は、それほど目立ったところは出なかったなぁ…と思っていたのだけれど、公式サイトのロケ地マップを見ると、結構マンハッタンの中心部に集中していた。
今度ニューヨークに行った時には、映画のシーンを思い出しながら、ロケ地を生で見てみたいと思う。
主役の2人に喰われてしまった感はあるけれど、女性陣も個性的。とりわけ、シャロン・ストーンの、妖艶な熟女っぷりに注目。
いやぁ、やっぱりこれは大人の映画だ。夜の回で見て良かった。
【関連】