(承前)
時はウルトラマラソン前日に遡る。
受付会場である湧別総合体育館に着いた途端、僕は、あることを思い出した。
出走ランナー応援FAX。
会場には、所狭しとさまざまなFAXが貼られていた。このFAXは、主催者公認で、レース3日前まで、出走ランナーへの応援用として受け付けられているものだ。
サロマ体験記などを読むと、これで大いに勇気が湧いたという話が数多く出ていたから、僕は、身近の親しい友人や、Twitterのフォロワーの方々へダメもとでお願いをかけていた。100km初体験で不安がいっぱいだったので、少しでも心の支えが欲しかったのだ。
何人かの人から、「送ります(送りました)」という話はもらっていたものの、実際、会場に着いてみると、ちゃんとそれが届いているかどうか不安だった。
ということで、会場内を一通り見回してみると、果たして…。
あった!
見紛うことなく、僕へのメッセージだ。ひとつ見つけただけでも感激なのに、その後、何枚も、何枚も、見つかった。見つけるたびに胸が熱くなった。自分宛のFAXは剥がして持って行っていいことになっていたので、僕はそれを大事に壁から外して、当日の朝まで何度も見直した。
職場の友人たちからもらったメッセージ。
応援FAXについては、ごく親しい人にしか話していなかったので、まさかこういった「寄せ書き」形式で多くの人からメッセージを貰えるとは夢にも思っていなかった。みんなに呼びかけてくれたんだなぁと思うと、ジーンときた。感動で涙が出そうだった。
そして…。
Twitterのフォロワーの方からも、僕宛のメッセージをいただいた。
それまで、Twitter上での交流は数多くあったものの、リアルでご挨拶をさせていただいたこともない僕に、ここまで温かい応援メッセージを下さるなんて。感激でたまらなかった。これは絶対完走しなければ、と思わずにはいられなかった。
と…僕がそんなことを思い返したのは、レストステーションを出て直後のことだった。
ブレイクを十分にとってリフレッシュできるかと思っていたのだけれど、むしろ逆で、休んだ分だけ精神の糸が途切れてきつくなった。おまけにレストステーションからすぐの地点には、このコース最大の難関といってもいい急坂があり、僕はもう走る気力を失っていた。
足の裏は相変わらず痛く、身も心もボロボロになっていた僕を救ってくれたのは、応援メッセージの数々だった。きつくなるたびに、応援の言葉を思い出し、負けてなるものか、と思った。
60km地点、通過!
スタートから7時間2分。60km地点での関門閉鎖時刻は12時35分なので、まだ30分以上の余裕があるとはいえ、50km地点では1時間10分ぐらいあった貯金が大幅に少なくなってしまった。
しかも、ここから先の70km、80km地点は関門通過制限時間がタイトになり、過去多くのランナーが涙を呑んでいる鬼門だ。
しかし、弱音を吐いてはいられない。ただ、完走すること。それが、メッセージを下さった方々に対する、最大のお返しになる。だからどんなにつらくとも、走り抜く。そう誓った。
FAXとともに、僕の大きな心の支えとなった「あの」メッセージに応えるためにも。
(以下、続く。)
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サロマ湖100kmの完走を支えてくれたものたち…感涙の応援メッセージ(FAX篇)
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