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劇場がすすり泣きで染まった「クロッシング」

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映画館で泣いたのは久しぶりだ。

主人公キム・ヨンスと息子ジュニとの電話の場面。ジュニのあの台詞!今思い出しても、胸がしめつけられるほど。
僕のようなオッサンが映画館で泣くのはちょっと恥ずかしいので、何とか我慢しようと思ったが、周りじゅうのすすり泣きにも影響されて、流れる涙を押さえることができなかった。
全篇を通して、物語は切ない。舞台は北朝鮮。炭鉱で働く元サッカー選手のヨンスは、妻・ヨンハ、息子・ジュニとともに、極貧ながらも幸せな生活を送っていた。しかし、ある日、妊娠中のヨンハが、肺結核で倒れてしまう。風邪薬も容易に手に入らない北朝鮮では、薬を入手するため、中国に行くしかなく…。
これは、壮絶な「脱北」の物語だ。
もちろん、「脱北」が容易である筈はなく、キム・ヨンスには怒濤の苦難が待ち受けている。そして、そんな父を追う息子ジュニ…。
数多くの脱北者たちへの取材に基づいたというこの映画は、北朝鮮の実情を、ドキュメンタリー風に、淡々と描き続ける。しかし、そうやって描かれる世界は、あまりにも残酷で恐ろしく、映画を見ている間じゅう、切なくて切なくてたまらなかった。
ストーリーを細かく書くとネタバレになるので、これ以上書かないが、少しでも「北朝鮮」の現状に興味を覚えている人は、必見の映画だと思う。どんなドキュメンタリー映画よりも、リアルに、この映画は胸に迫ってくる筈だ。

ちなみに、NYブルックリンを舞台にした映画「クロッシング」と、この映画は、何の関係もない。
以前のレビューで書いた通り、NY版の原題は、『Brooklyn's Finest(ブルックリンの警官)』であり、ストーリー的にも、原題の方がふさわしい気がした。そのタイトルをねじ曲げて、わざわざ、同時期に上映中だったこの作品*1と合わせたことに、僕はあらためて違和感を覚えた。
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*1:「クロッシング」という言葉には、「横断」「渡航」という意味があるから、この映画にはふさわしいタイトル。


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