餃子ランナーは電子機器の夢を見るか?

ランと餃子とデジタルガジェット。ときどき、映画や雑誌の話。言いたいことを言い捨てるブログ。

ランと餃子とデジタルガジェット。ときどき、映画や将棋の話。言いたいことを言い捨てるブログ。

スポンサーリンク

胸にずんと響く「私の中のあなた」

スポンサーリンク

先週末に鑑賞。
今月中旬にはDVD化もされるようだけれど、名画座で上映しているうちに見ておきたいと思った。予告編を見た時から気になっていたし、こういったサイトでの評点も非常に高かったからだ。

…見に行って良かった。以下、ネタバレに気をつけながら、つらつらと感想を書いてみる。
物語は、アナ(アビゲイル・ブレスリン)の独白から始まる。そこでまず、特異な事情をもって生まれた彼女の生い立ちを知り、やがて驚愕する。
白血病の姉の「臓器移植のドナー」として得た生。生まれながらにして、姉への臓器移植を強いられる人生。そんな馬鹿な。あり得ない。そう思った。
だから、11歳の少女が両親相手に訴訟を起こす、という展開も納得できなくはなかった。子供とはいえ、自分の人生と身体を守りたいと思うのは当然だ。
こういったストーリーだから、壮絶にドロドロした展開になるかと思いきや…。
母親のサラを演ずるキャメロン・ディアスが素晴らしい。悪役的要素を一手に引き受ける形になり、難しい役柄だった筈だが、絶妙のバランスで踏みとどまっている。熱演。白血病に苦しむケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)の演技が出色。父(ジェイソン・パトリック)も、兄(エヴァン・エリングソン)もいい。弁護士役のアレック・ボールドウィンと判事のジョーン・キューザックが、法廷シーンを見事に盛り上げる。名優揃いで、目が離せない。僕は、今でこそこうやって冷静に書いているけれど、110分の間、胸を打たれまくりだった。
物語は、病床で「後がない」状態にまで追い込まれたケイトを巡る本編に、数々の回想シーンを織り込む形で進行していく。回想シーンが多数ある映画の場合、本編に戻った際、戸惑いを感じるようなケースもあるのだけれど、この映画の場合は、全くそれを感じなかった。回想シーンから本編に戻るたびに、ストーリーは深まり、物語は濃密になっていく。実によくできた構成だ。
途中、法廷シーンに「あっ」と驚く仕掛けがあり、そこから先は涙なくしては見られなかった。特に病院でケイトが家族のアルバムを見るシーン。今思い出しても胸が熱くなる。
テーマがテーマだけに、決して明るい映画ではない。しかし、重苦しくならなかったのは、名優たちが紡ぎ出す「家族愛の素晴らしさ」だ。皆が、それぞれの形で、ケイトへの愛を存分に降り注いでいる。そして、一番苦しい筈のケイトが、その愛に応える姿が、これまたたまらない。
名作。

映画『私の中のあなた』公式サイト


マラソン・ジョギングランキングへ