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イーストウッドの凄さに感服しまくりの「グラン・トリノ」

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エンドロールが終わっても、しばらく席を立てなかった。僕だけじゃない。同じスクリーンで見ていた人、誰もが。
僕がこれを見たのはレイト・ショウで、終了時刻は0時を回っていた。だから、落ち着いた大人客中心で、ゆったりとしていたのかもしれないが、理由はそれだけじゃない筈だ。例えばつまらない映画であれば、エンドロールの途中でさえも、出て行く客はいる。
しかし、この映画は違う。
エンドロールが始まってからも、衝撃的な演出があり、見逃せない、聞き逃せないという思いを抱かせたまま、余韻だけが残る。
こういう映画は、多くを語るまい。無心で見て、この感動を共有して欲しい。ただ、少しでもその凄さを伝えておきたいため、ネタバレにならない範囲で、蛇足の解説を。
ストーリーは、単純だ。朝鮮戦争の帰還兵であり、かつてフォード社に努めていた主人公のウォルト。妻に先立たれ、一人暮らしとなり、頑固で偏屈な老人として生きていた。しかし、その老人の隣家に、アジア系少数民族、モン族の家族が引っ越してきて以来、老人の心境に大きな変化が生じる…。それだけの物語だ。けれど、その内容は、あまりに深い。
隣家の少年タオと交流を始めてから、孤独だったウォルトの人生に、さまざまな変化、そして事件が訪れる。その中で、老人ウォルトに生じる、さまざまな心の葛藤を、監督イーストウッドは見事に描ききり、名優イーストウッドが演じきっている。
一見、重たい作品に見えるかもしれないけれど、所々に散りばめられているユーモアのセンスもまた素晴らしく、会場では笑いも多数起こっていた。笑いあり、緊迫感あり、涙あり。実に名作だ。
いやはや、素晴らしいとしか言えない。あの「チェンジリング」を上梓したあとすぐ、こういった作品を作り上げてしまうクリント・イーストウッドの才能には、ただただ脱帽。そして、78歳とはとても思えない、素晴らしい演技の数々にも。
とにかく、多くの人に見てもらいたい映画。



パンフレットがこれまた逸品。オールカラー36ページの豪華なパンフで、クリント・イーストウッドの映画史(演出史、俳優史)にも8ページが割かれており、非常に良く出来ている。イーストウッドファンであれば、絶対に押さえておきたい。
表紙でイーストウッドの後ろに移っているのが、フォード社のヴィンテージカーであり、この映画のタイトルともなっている「グラン・トリノ」だ。僕は車のことがよくわからないのだけれど、車好きの後輩*1などには、痺れる車なんだろうなぁ…と思った。
映画『グラン・トリノ』オフィシャルサイト

*1:僕のエントリーに、たまに登場する「口さがない」後輩は、大の車好き。


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