余計な言葉はいらない。ただじっと出馬表を眺めながら、レースの時を迎えたい。そんなことを思ってしまうほど、豪華絢爛なメンバーが揃った、空前絶後の秋華賞である。
思えば、春のG1戦線は波瀾万丈だった。
ダイワスカーレットがウオッカを桜花賞で下した時、これで牝馬戦線の序列は決まったのではないかと、一瞬、思った。しかし、オークスを目前にして、桜の女王は戦線を離脱してしまう。ウオッカがダービーに回ってしまったことで、新星ベッラレイアが1番人気に祭り上げられたが、その新星をハナ差で制したのは、桜花賞4着のローブデコルテだった。
この結果から「オークスに行けば楽勝だったのに、勿体ないなぁ」とも思わせたウオッカが、あっと驚くダービー制覇。これで牝馬戦線の序列は全くわからなくなってしまった。ここに、NHKマイルCで牡馬を一蹴したピンクカメオまで加わるのだから、今年の牝馬は本当に層が厚く、凄すぎる。
素直に実績を評価すれば、ここはウオッカなのだろう。何といってもダービー馬なのだ。ここでは格が一枚も二枚も違う。ただ、やはりスムーズに夏を超えられなかったのが痛い。そもそもこの馬は、まともならば凱旋門賞に向かう計画だった筈で、その前にひと叩きも計画されていた。それがぶっつけで秋華賞になるというのは、やはり誤算だろう。
ダービーを制した、類いまれなき競争能力をもってすれば、そんな誤算は些細なことかもしれないけれど、宝塚記念惨敗のダメージなども気にかかり、ここは評価を落とす。
本命はベッラレイア。
トライアルの脚を見た時から、この馬に決めていた。並み居るG1馬たちに比べて実績的には1枚落ちるが、オークスは実質勝っていたといっていい競馬だし、前走のローズSで、ダイワスカーレットに迫った33.2の鬼脚の先は、このレースに繋がっている。急坂のある阪神コースより、平坦京都の方が向いていることは間違いなく、あの着差は十分逆転可能と見た。
武豊は、騎乗停止明けになるけれど、こういう時こそ燃えるのがこの男だ。休んでいる間も、じっくりと秘策を練っていたに違いなく、ここで乗れる幸運*1を存分に生かすとみた。想像以上に人気となっているのがイヤなところだけれど、人気で評価を変えるとロクなことがない。人気だろうが何だろうが、勝つ馬は勝つ、と信じて本命。
ダイワスカーレットの評価が難しい。前走は「勝ってください」と言わんばかりの楽なレースで、それでいて後続を引き離せなかったのが気にかかる。直線は抑えていたという見方もできるが、ならば、追っていて伸びるのかというのはちょっと疑問だ。中京2歳Sで、追わずに楽々退けたアドマイヤオーラに、シンザン記念ではあっさりと逆転されていることを忘れまい。
これまで楽なスローペースしか経験してこなかったこの馬にとって、ハイラップの切れ味勝負になりがちな秋華賞は、かなり厳しい条件の筈だ。アンカツだけにうまくごまかして乗る可能性もあるけれど、激流に呑まれて惨敗というケースがあっても驚かない。
上記3頭の力が抜けている気はするけれど、ウオッカ、ダイワスカーレットには死角が存在するとも思えるので、穴目も狙う。「苦手」な阪神コースでのトライアル4着に進境が伺えるピンクカメオ、前走惨敗で人気激落のミンティエアー、不気味な鞍上で混戦向きのレインダンスまで。《気配を消した福永は買い》のローブデコルテも気になったのだけれど、そこまで印が回らなかった。
馬券は◎1頭軸→○▲△△△3連複10点&馬連5点で勝負。できれば△馬の突っ込みを希望。◎-○(-▲)は若干の厚めにとどめ、これで決まったら元割れでも仕方ないと諦める。
◎ベッラレイア
○ウオッカ
▲ダイワスカーレット
△ピンクカメオ
△ミンティエアー
△レインダンス
*1:通常の開催日程ならば、今日まで騎乗停止中となっていたところ、先週3日間の変則開催があったために、ギリギリ間に合った。