僕には、あまり時間がなかった。
時刻は、午前9時過ぎ。午後一番からは会食の予定が控えている。着替えの時間なども考えると、自由時間は2時間あるかないか。
無理して行動する必要はない…とも思ったが、僕はやっぱり諦めきれなかった。
ということで、気がつくと僕はここにいた。
山下公園。
今年3月11日に、ここを走って以来、さまざまなことがあった。
僕にとって、あまりにも激動の、激動すぎた1ヶ月の日々。
横浜には、毎週のように訪れていたが、走ることなど考えられない状態だった。
ようやく、少しだけ落ち着いてきたので、僕は、もやもやした気持ちを振りはらうためにも、やっぱりこの地を走りたかったのだ。
僕は、心を決めて、やおら走り始めた。
午後からの予定を踏まえると、あまり余裕はなかったが、15km程度は走れる。ならば、いつものコースを回れる筈。
ゆったりのんびり、景色を楽しみながら走ろうと思っていた。
港に係留されている氷川丸の鎖には…。
いつものように、カモメの整列が見られた。
僕の大好きな情景だ。
カモメたちは、一見、どれも同じような姿に見えるのだけれど…。
PowerShot SX720 HSのズームでググッと寄ってみると、微妙に顔つき(?)が違う。
こういった発見があるから、やっぱり、ラン時のデジカメは手放せない。
山下公園から、大桟橋へ。
橋の上では、優雅に、フラダンスの練習が行われていた。
陽気がいいこともあり、とても楽しそうだ。それを横目で眺めながら、僕は、桟橋を駆け上っていく。
ここから眺める港の情景は、とても素敵で、心が癒やされるのだ。
右手には、ベイブリッジ。
左手には、みなとみらい。
どちらも僕の大好きな情景で、あぁ、やっぱり走って良かったなぁ…と思った。
赤レンガ倉庫にズームインしてみた。
好天の日は、バックに富士山が眺められる筈なのだけれど、薄雲がかかっているのか、この日は全く見ることができなかった。
ちょっと残念。
倉庫地区では、今日も、何やらイベントが行われるようで、白いテントが見えた。
そんな写真をつらつらと撮りながら、僕は大桟橋を下る。
ここから先は、いつものコース。
象の鼻パーク~赤レンガ倉庫~臨港パーク~みなとみらい地区~日本丸メモリアルパークと辿り、運河パークを経て、また赤レンガ倉庫地区に戻ってくる。
それが、僕の、定番横浜港ランロードだった。
この日は、時間が限られていたこともあり、それをなぞって走り続けるだけ、の予定だった。
しかし、そんな僕に、想定外の事態が訪れる。
この日、赤レンガ倉庫で行われていたイベント。
まだ開始時間になっていないのか、行列もそれほど長くなかった。
僕は、基本的に、イベントにはあまり興味がないので、この日も華麗にスルー予定だった。
ただ、ブログのネタ用に写真だけは撮っておこうかと思い、ちょっと近づいてみると…大きな衝撃を受けた。