時は1週前。GW(Gyoza Week)最終日に遡る。
母の日を含む先週末は、諸事情で走れないことが決定していたため、僕は、その分も含めて、まとめて走っておきたいと思った。
この日は、ロングランという目的に加えて、僕には、もうひとつ、重要な計画があった。
2018年のGW最終日なのだから、やっぱり、夜明け前の餃子ランで綺麗にフィナーレしたいと思ったのだ。
その理由は、GW初日に味わった痛恨。
僕は、午前5時まで営業している筈の餃子酒場「大田屋」を目指して、神田まで走ったのに、ラストオーダー時刻(午前4時)を調べ損ない、痛恨の門前払い。
わずか5分の遅刻で、餃子にありつけなかった。
代替に見つけた店で、何とか餃子にありつくことはできたけれど、ちょっと残念な味だったため、モヤモヤした気分が残ってしまった。
その後…。
とにかく素晴らしい「餃子工房 葉牡丹」をはじめ、いくつか素敵な餃子を味わうことができたから、今年のGyoza Weekは充実していたと言ってもいい。
ただ、餃子ランナー的には、やっぱりGW初日のリベンジをしておきたかった。
「終わりよければすべてよし」ということわざもあるから、それで来年のGWへ襷を繋ぎたかったのだ。
ということで、今回は、しっかりとラストオーダーの時刻を調査して、それに間に合うよう走ることに決めた。
神田「大田屋」も考えたが、ラストオーダーの時間が早いし、久しぶりに他のコースを走りたかった。
ということで、真っ暗なうちに出発。
この日の月は、月齢20日目の更待月(ふけまちづき)。
夜更けに昇ることから、そう呼ばれている月だ。
GW初日は、ほぼ満月だったので、かなり欠けてきたが、その姿もまた、美しい。
真っ暗なロードを、黙々と走りながら、この日僕が辿り着いたのは…。
ここだった。
未明だというのに、煌々とした灯りの店が立ち並んでいる。都内有数の、眠らない街。
上野だ。
ただ、そんな街といえど、未明に餃子が食べられるかどうかは未知数。
神田での苦い経験を踏まえ、僕は、事前にしっかりと電話確認を行い、まだ営業している筈の店に向かった。
その店は、上野のDeepな歓楽街として知られる、仲町通り内に存在していた。
入口から見た情景。
人通りこそないものの、流石は歓楽街らしく、「終夜営業店」の華やかな灯りがきらめいていた。
僕は、Googleマップを頼りに向かうと、すぐ、その店を発見することができた。店の名は…。
「再来宴」
特に餃子の有名店というわけでもなく、食べログなどでも評価も高くなかったのだけれど、消去法で考えると、この店ぐらいしか見つけることができなかった。
なにしろ僕は、夜明け前に焼餃子を食べようと思っているのだ。その選択肢は、かなり限られてしまう。
上野では、日高屋なども開いていたが、わざわざ上野まで行って、日高屋の餃子を食べる意味がない。
日高屋の餃子なら、いつでもどこでも食べることができるからだ。(僕は食べないけどw)
ということで、雰囲気料も含めて、妥協で決定した店。
だから、あまり期待はしていなかったけれど、とりあえず、辿り着いた以上、その餃子を食べるのは楽しみだった。
この店の営業時間については、Webでの情報が錯綜しているようだったので、僕は、前夜に店へ電話をかけて確認している。
電話に出た女性は、たどたどしい日本語で、「営業は、午前5時まで。ラストオーダーは4時半」と回答してくれた。
ぐるなびの店舗ページでは、
朝6時まで営業中!当店は朝までご利用いただけます。ごゆっくりお過ごし下さい。
などと書いてあるのに、かなり誤差があるなぁと思ったが、まぁ、4時半ラストオーダーならば問題ない。
僕がこの店に着いた時刻は、まだ午前4時を過ぎたばかりだったからだ。
半開きになっていた扉から、店内に入ろうとすると、ちょうど中国人らしき店員が出てきて、僕にこう告げた。
「スミマセン、今日、もう、終わりましたー。」
そう言いながら、店の外に出てきて、ゆったりと煙草を吸い始めた。
完全に営業終了だと言わんばかりのリラックスモードだ。
僕は、折角ここまで走ってきたのだから、抗議をしたい気持ちもあった。
「ラストオーダーは、4時半までじゃなかったんですか」とか「昨日の夜、確認したんですけど」とか言いたかった。
しかし、そんな気力さえも失わせてしまうほど、その女性は堂々としていた。
それに…。
猛抗議をして入店が認められたとしても、それで、餃子だけを食べて退店するというのは流石に気が引ける。
もともと今回は、それほど期待していた店ではなかったので、僕は諦めることにした。
まぁ、これだけ華やかな歓楽街なのだから、他にも餃子を食べられるところがあるだろう…と思いつつ、僕は、その通りを彷徨った。
そして。