ずっと、気になっていた店だった。
東武東上線で池袋から2駅目。「下板橋駅」下車徒歩1分。
駅を降りてすぐの場所、車窓からも見える場所に、その店は存在している。
最高の立地にあるため、見つけることは容易だったのだけれど、いざ、店の近くに行ってみると、ちょっと躊躇した。
一見、営業しているかどうかわからなかったからだ。
いやはや何とも、汚い趣がある店構え。
隣のコーヒーショップ「ルーエ」は完全に閉店状態だったので、それがまた、切なさを増幅させている。
僕は、出直し?閉店?と、覚悟しながら近づいてみると…。
一応、営業はしているようだった。
店頭に放置されている、段ボールや出前箱などのオブジェは気になるものの、店内の灯りはついていて、外から覗くと、先客もいた。
店のドアに書かれた「ラーメン三七〇円」の文字が印象的。
安いなぁ…という思いとともに、「いったいいつから書かれているんだろう?」という疑問が募った。
入口のドア横に掲示されていた、オススメ品の数々。
どれもこれも安いのだけれど、何だか不安に感じてしまうのは何故だろうw
ただ、ここまで来た以上、もう、後戻りはできない。ということで、勇気を出して(と言うほど大袈裟なものじゃないけれど)入店。
店内は、意外にも(失礼)それほど、汚い感じはしなかった。
カウンターが8席程度あるほか、店の奥には、ちょっとした座敷があって…。
常連と思わしき人がゆったりのんびりくつろいでいた。
僕は、やおらカウンターに座り、そこに用意されていたメニューを眺めてみる。
看板メニュー?で格安のラーメンを含め、どれもこれも良心的な価格。昭和価格と言ってもいいかもしれない。
ところどころ、手書きで修正されているところが、また昭和チック。
裏面は、定食類になっていた。
これもまたリーズナブルで、色々と目移りしたが、僕の心は決まっていた。
もちろん、これを注文するのだ。
ポスターまで作っているぐらいだから、店のオススメであることは間違いないし、しかも安い。
「サクサク、ジュワーッ、クセになる快感」とまで言われて我慢できるものか。
もちろん、そんなことを言われなくても、我慢するつもりなどなかったのだけれどw
料理類の安さに比べて、ビールはそれほどリーズナブルじゃないなぁ…と思ったが、「餃子とビール」は、最強のコンビネーション。
それを見せつけられてしまっては、注文する一手。
ということで、まずはビールがやってきた。
餃子が焼き上がるまでは、ちょっと時間がかかりそうだったため、ビールのアテとして、別途ニラ炒めを単品で注文。
あっという間に出てきた。
ちょっとした一品なのだけれど、しっかりとした濃いめの味付けで、とてもビールに合う。
昼間から飲むのも悪くないなぁと思いながら、昭和空間でくつろいでいると、ほどなく、僕にとっての主役が眼前に現れた。
餃子来たーっ。
こんがりと、美しい焼き目がついていて、食欲をそそられる。
iPhone SEとのサイズ比較。
それほど大きくはなく、餃子チェーン店なみのサイズ。まぁ、280円という価格も含めて考えれば、妥当、という感じがする。
具は野菜中心で、ニンニクも効いている。
下味は殆どついていないので、オーソドックスに酢醤油で食べるのが合うと思った。
いわゆるラーメン屋の餃子…と言った感じで、特筆すべき味ではない。
ただ、昭和にタイムスリップしたような空間で、ビールとともに味わうと、なんだか懐かしいような気持ちになった。
気がつくと、店は満員になっていて、皆、こぞって、リーズナブルな麺類や定食を注文。満足げに食べている。
昼間からビールなどを飲んでいるのは僕だけで、激しく浮いた状態。
ここは、定食を味わってこその店なのだ、きっと。
ただ、夜に訪れたらまた違うのだろうし、他にも色々気になるメニューがあった。
昭和の時代が懐かしくなったら、また訪れてみようと思う。