この春から、大きく変わったNHKの「ラジオ英会話」講座。
ここ10年間、ずっとその看板を背負っていた遠山顕先生の退任が決まった時、僕は目の前が真っ暗になった。
僕は、去年から聴き始めたばかりだったのだけれど、聴講初日から、その素晴らしさに震撼。
どうしてもっと早く聴かなかったのだろうと大きく後悔し、その後の放送は、1日も欠かさず、何度も聞き直すほど、惚れ込んだ。
これからも、毎日永遠に聞き続けていきたいと思っていた矢先だっただけに、遠山先生退任のニュースには、とりわけ大きなショックを受けたことを思い出す。
ただ、この春からは、遠山先生の名前を冠した別途の新講座が始まるということで、僕の心は救われた。
はたして、その講座の内容は…。
完全に「ラジオ英会話」のテイストを受け継いだものだったので、僕は大いに嬉しかった。
週3日の放送となってしまったのは、少し残念だったけれど、先生の体調を考慮したものだと思うので、それは仕方がないと思った。
とりあえずは、遠山顕先生の講座が続いてくれたということが、何より嬉しく、僕は、今年、この講座(遠山顕の英会話楽習)についていこう!と思った。
ただ…。
今年から講師が変わる「ラジオ英会話」の方も、とりあえずは聞いてみることにした。
新講師の大西泰斗先生は、多数のヒット著作があり、また、NHKのテレビ講座でも人気があったようなので、少し気になったからだ。
正直、4月号のテキストを初めて見た時の印象は最悪だった。
その内容は、全く面白味がない文法三昧で、スキットの内容もつまらない。
正直、テキストだけを比べるのであれば、遠山先生時代とは、天と地ほどの差がある、と思った。
ただ、実際に聞いてみると、それは意外な方向に裏切られた。
聴講直後の印象は、まだ期待値込みという感じだけれど、その後、僕は、この講座にどんどん引き込まれていく。
はっきり言って、スキットのやりとりは、《恐ろしいぐらいの棒読み》で興ざめするし、「ラジオ英会話」というより、「ラジオ英文法」というような説明が、毎日繰り返される。
だから、心地いいスキットの英会話を聞き流す、という(遠山先生版「ラジオ英会話」のような)楽しみ方は、この講座には望めない。
しかし、だからこの講座は面白くない…かというと、そうではなかった。
確かに、毎日のスキットは恐ろしくつまらないし、棒読みも興ざめする。
が、この講座にとって、スキットはあくまで、文法説明用の《素読み台本》であると考えると、一気に面白味が増す。
その台本内容をきっかけにした、大西先生流の独特な講義と、ネイティブパートナーである、クリス&ローザのフリートークこそが、この番組の真骨頂なのだ。
大西先生の講義は、実に独創的。
「説明は後ろに並べる」「説明は後ろに並べる」「説明は後ろに並べる」
という文言を、毎日暗唱させられたり、現在完了運動とかいうわけのわからないものをさせられたりして驚くが、でも、いつしか僕は、それが楽しみになってきていた。
加えて、クリスのユーモア感覚が素晴らしい。
ローザも、フリートーク部分では、しっかりと感情を持って話し、クリスの冗談に付き合っている。いやはや、これが本当に面白いのだ。
僕は、完全にハートを掴まれてしまった。
この3ヶ月間のテキスト。
通勤時、毎日持ち歩いて眺めていたし、書き込みなどもしているので、見た目以上にボロボロになっている。
でも、それがいい。
NHKラジオラジオ英会話 2018年 07 月号
明日からは、このテキストに変わる。7月のテーマは「助動詞」。実に楽しみだ。
今月も、じっくり講座を聞き込んで、このテキストもボロボロになるほど、使い倒していきたい。
一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)
もちろん、この本も購入。
英文法書として、非常に評価が高いベストセラー本なので、以前から気になっていた。
ただ、これまでは、その分厚さに恐れを成して購入できずにいたのだ。
しかし、今は大丈夫。
大西先生のハートがたっぷり詰まった、この本の内容に、僕はこれまた痺れている。
大西先生の「ラジオ英会話」リスナーならば、持っていて損はない、必携の1冊だ。(今更僕に言われなくても、みんなわかっていると思うけれど…。)