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「最後にして最初のアイドル」星雲賞受賞!に感じた未来

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いやぁ、時代は変わったものだなぁ…と思った。

SFファンなら誰でも知っている、星雲賞。その、今年の受賞結果を見て、僕は本当に驚いてしまった。

受賞作は以下の通り。

 小林泰三やジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、ケン・リュウと言った、星雲賞でおなじみのメンバーに混じって、草野原々の名前があったからだ。

日本短編部門を受賞したその作品、「最後にして最初のアイドル」は、昨年のハヤカワSFコンテスト入賞作にして、デビュー作。

その内容があまりにも特異だったため、審査員の選評でも、意見が大いに分かれ、結果、《特別賞》という形に落ち着いた作品だ。

優秀賞を受賞した『ヒュレーの海』 と、『世界の終わりの壁際で』は、ハヤカワ文庫として刊行されたが、「最後にして最初のアイドル」は(中編作品ということもあったかもしれないけれど)電子書籍版のみでの刊行ということになり*3、ちょっと格差を感じた。

しかし、今回、一気に立場が逆転。

いや、もともと、格差などはなかったのかもしれない。

作者の草野原々氏が、特別賞受賞当時に受けたインタビューには、この作品に関する自信がみなぎっている。

そればかりか…。

年収百万円を達成するために、わたしは来年の星雲賞を手に入れることを決意するのであった。そして、この文章を読んだものは、「最後にして最初のアイドル」に投票することになるのだった。

『最後にして最初のアイドル』草野原々、大いに語る

なんと、今回の星雲賞受賞を予言している!

このインタビューは、最初から最後まで実に刺激的で、僕は、初めてこれを読んだ時、大いに驚いたことを思い出す。

正直に書くと、僕は、最近のアニメやアイドルという分野に非常に疎く、興味もないため、だから、このインタビューで言及されている『ラブライブ!』についても、全く知らなかった。

『最後にして最初のアイドル』は、その原案が『ラブライブ!』の二次創作ということで、アニメ色が満載なのだろうと勝手に解釈し、僕は、結局、この小説を読まずに過ごしていた。

電子書籍版は、ワンクリックですぐに買えたのだけれど、アニメが苦手な僕としては、「無理して読むこともないかなぁ…。」と思っていたのだ。

しかし、星雲賞まで受賞したとなれば、話は別。

しかも、デビュー作での星雲賞受賞は、あの、山田正紀「神狩り」以来42年ぶりの快挙。

「神狩り」は、SF史上に残る大傑作で、その後の山田正紀の活躍ぶりは、SFファンなら誰でも知っている。

となれば、僕も一応SFファンの端くれとして、読まずに済ませるわけにはいかない。

ということで、昨晩購入。

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「最後にして最初のアイドル」

130円。安い。

こんな値段だったのだから、もっと早く買っておけば…とも思ったが、ただ、そんなに焦る必要もない。

いざ読もうと思ったら、すぐに読めるのが電子書籍の凄いところ。

ということで…。

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とりあえずは、iPad AirのKindleアプリに入れてパラパラと眺めてみた。

Kindle FireもPaperwhiteも持っているが、とりあえずは、常時携帯しているiPad Airで読むのが楽だと思ったからだ。

で…。

一読してみて、本当に驚いた。

前述させていただいたように、僕はアニメ系やアイドル系の描写が苦手なので、最初はちょっときつかった。

しかし、主人公であり、アイドルを目指していた少女が自殺し、あっと驚く形で復活するところからが、この物語の真骨頂。

そして、紛れもなく、これはSF。超をいくらつけても足りないぐらいの(もちろん褒め言葉として)バカSFだった。

いやはや、なんというパワーの溢れる作品だろう。これは。

文章は、かなり荒削りのように思えるし、あまりにも突拍子もない展開についていけず、時々苦労するところもあったが、それでもやっぱり読まされてしまった。

こんな素敵な読書体験を、思い立ったら一瞬に、それも、たった130円で味わうことができるのだから、いやはや、本当に時代は変わったものだなぁと思う。

小説の内容とは別に、僕は、なんだか未来を感じてしまった。

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『エヴォリューションがーるず』

星雲賞受賞第一作であり、著者2作目の作品となる『エヴォリューションがーるず』が、現在、amazonで予約受付中となっている。

…ので、もちろん予約した。

7月31日発売。

と言っても、「紙」ではないから、書店などに並ぶわけではなく、当日になると、Kindleに自動配信されるようだ。

今度は、ソーシャルゲームがテーマ。

いったいそれがどのような形でバカSF化(?)されるのだろう…。

とても気になる。

*1:『あまたの星、宝冠のごとく』収録

*2:「〈S-Fマガジン〉2016年12月号」掲載

*3:その後、ハヤカワ文庫の『伊藤計劃トリビュート2』に収録。


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