日本公開を、心待ちにしていた映画だった。
「キングスマン ゴールデン・サークル」。
僕の、2015年ベスト1作品、「キングスマン」の続編。3年ぶりの新作とあって、ずっと楽しみにしていた映画だった。
「キングスマン」を見た時の衝撃は、今でも忘れられない。
何というスピード感、何という設定、そして、何というメチャメチャ。
ちょっと悪ふざけが過ぎるんじゃないか?と思うところもあったけれど、それも許せてしまうほど、破天荒な映画だった。
とにかく沢山の人が死ぬ。それも明るく死ぬ。
時折、目を背けたくなるような内容もあるのに、そんな重たいシーンも、陽気な音楽が吹き飛ばす。
途中、「あっ!」と驚くことが起き、いったいこの映画は成り立つのか?と思ったのだけれど、それが一体何なんだ?と言わんばかりに、さらっと物語は進行。
スタート時からのテイストを保ったままで、圧巻のクライマックスへなだれ込む。
いやはや、本当に凄い映画だった。
もう3年前の映画だから、細かく書いてもいいと思うのだけれど、もしも未見の人がいるなら、この楽しみを奪いたくない。
だから、もしも、「キングスマン」シリーズに興味を抱いたならば、まず…。
この予告編を見て欲しい。
そして、少しでも面白そうだと思ったならば、是非、本編も、レンタルして見ることをオススメ。
予告編の1,000倍は面白い映画だと思うからだ。
そんな第1作を見終わった後…。
この新作ポスターを眺めると、「おやっ?」と思うことがある筈。
いったい、《アレ》をどうやって解決したのだろうと思った瞬間、この映画を見に行かずには、いられなくなる。
そう、この映画は、まさに、「キングスマン」第1作を堪能した人にとってのプレゼント映画なのだ。
映画が始まって冒頭1分で、キングスマンワールドが全開。
第1作を見ていないと、「一体なんだこれは?」と思うような幕開けなのだけれど、見ていれば全く問題はない。
あぁ、やっぱりキングスマンは凄い、最強だ…などと思いながら、僕はその物語世界に酔っていた。
しかし…。
その後、約10分程度で「おぉぉぉぉっ!」と叫んでしまうような大事件が起きる。
こんなことが起きてしまって、この先どうやって映画を成り立たせるのか?と思ってしまうほど、絶望的な状況。
しかし、そこからの力業が、これまた凄かった。
なぜか、舞台がロンドンからカリフォルニアに飛んで、いきなり出てくるステーツマン。
ステーツマンってなんやねんw
…と、思わず突っ込みたくなるような展開になった。
しかし、この映画に、いちいちつっこんでいたらキリがない。
無心に、ただ、その独特のワールドに身を置いて見るべき映画なのだ。
その後も、相変わらずメチャメチャな展開が続くのだけれど、第1作を見て免疫がある僕には、何の問題もなかった。
逆に…。
第1作を見ず、いきなりこの映画に臨むと、その面白さは半減してしまうと思う。いや、そればかりか「何だこれは」と思って、嫌気がさしてしまうかもしれない。
第1作では一応《説明》があったけれど、この作品では、それが《お約束》へ昇華してしまっており、《説明》は、ほぼ省略されている。
だから、第1作以上に「あり得ないだろ」感が満載になると思うからだ。
第1作で「あっ!」と思った事件の解決方法も提示されていて、「そんなバカな!」と思うけれど、それもまた、キングスマンワールドなのだと思えば、まぁ、納得がいく。
とにかく、この映画は第1作と繋がっている映画であり、第1作を見ているからこそ、あり得ないような展開であっても、「そう来たか!」と思って楽しめるのだ。
正直、単体で考えると、第1作よりは少し落ちる。
個人的には、悪役代表のジュリアン・ムーアが、今ひとつのように感じた。
悪趣味で小憎らしいところは、第1作のサミュエル・L・ジャクソン同様なのだけれど、オスカー女優の、いいイメージが邪魔をして(?)悪役感がどうにも薄い。
それだけじゃない。
展開的にも、第1作の方がぶっ飛んでいたし、迫力も、スリルもあった。とりわけ、第1作で、クライマックス以降に漂っていた緊迫感が、この映画では殆ど感じられなかったのが、ちょっと惜しい。
ただ…。
それも、「キングスマン」シリーズの第2作なのだと思えば、まぁ納得がいくし、十分に楽しめる。
また、この作品特有の魅力もある。特別出演(?)のエルトン・ジョンだ。
本人役で登場。最初は、顔見せ程度のちょい役なのかと思ったら、いやはやどうして、重要な役どころを演じている。ユーモラスな味付けにも一役買っていて、なかなか楽しめた。
もちろん、このシリーズは今回で終わらない。次回作では、どんな「そう来たか!」を見せてくれるのだろう…。
今からそれが大いに楽しみだ。
パンフレットももちろん購入。
第1作とのスタイルをしっかりと踏襲した形式になっており、その表紙を開くと…。
「MANNERS MAKETH MAN」の文字。
この決めゼリフが、今回も聞けて、本当に嬉しかったなぁ…。
パンフレットを眺めていると、その面白さが、陽気な音楽とともに、脳裏に甦ってきた。
第三作の公開時には、第1作ともども、この作品もしっかり復習して臨もう。
そして、思いっきりまた、「そう来たか!」と楽しみたい。