埼京線、十条駅北口を出てすぐ左。
十条銀座商店街とは反対方向の道を、道なりに1分程度歩くと、その店は存在している。
店の名は「王華」。
それほど大きな店舗ではないが、餃子好きならば、間違いなく気がつくし、絶対に気になる筈だ。
それぐらい、この店の「餃子推し」は凄かった。
店名の上には、「おいしい手造り餃子の店」というキャッチコピー。
店頭には「餃子」の提灯。
餃子自慢の店ならば、ここまではまぁよくあるけれど、この店は、それで終わらなかった。
入口の左では、きらびやかな電飾で「手造り餃子」をPR。
都内でも数少ない手のし皮です
と、単なる手造りではない点も強調。
〈お土産にもどうぞ!!〉と、持ち帰りまで推奨している。
さらに…。
全て手造りです、と傍点付きで再度強調。とにかく手造りアピールが満載だ。
餃子の価格は、1皿6ヶ480円だから、決して安くはない。
だからなのかもしれないが、ミニ皿という形で、半皿3ヶ240円というものも存在している。
「480円が高いと思う人は、まず、半皿でもいいから食べてみて」ということなのだろうか。
これは、単純な作戦のようでいて、結構大変なことだと思う。
どんな店でも、餃子を焼くのは、それなりに手間と時間が必要。餃子用に、炒め物などとは別途の鉄板と作業が必要になるからだ。
だから、例えば餃子自慢の店でも、ランチメニューでは提供しない場合もあったりする。
しかし、この店は、その逆を行く。
「とにかくうちの手造り餃子を食べて欲しい!」という情熱に満ちあふれているのだ。
餃子好きなら、これを見逃さずにいられるものか。
入店後も、餃子推しは続く。
店内の看板でも、「皮も具も手造り餃子」という点を、再度強調。
味のある絵も添えられていて、どうにもこうにもそそられる。
僕は、この日が2度目の訪問だったので、その美味しさはわかっていた。そして、その食べ方もわかっていた。(つもりだった。)
だから今回は、1.5皿を注文した。
これは、1皿+ミニ皿(0.5皿)を注文するよりも、20円お得になる。いわば、この餃子の美味しさを知った、リピーター向け(?)の皿なのだ。
餃子が出てくるまでの間…。
ビールと、ほうれん草のおひたしを注文。
僕はこの日、「三龍亭」での餃子&ビールセットからのハシゴだったが、まだまだ僕の胃腸には余裕があった。
だから、ビールも、ほうれん草もとっても美味しく感じたし、来たるべき主役の受け入れ体制も万全だった。
酢胡椒も準備。
以前食べた時、この店の餃子は、酢醤油で食べるよりも、「酢胡椒」で食べる方が合うと感じていたからだ。
この、餃子&酢胡椒という組み合わせは、赤坂みんみん流として、餃子好きには古くから知られていたものだが、最近は、テレビなどでの紹介により、かなり広まってきている。
だから僕は、今回も、この食べ方で、お店の激しい餃子推しに応えるつもりだった。
そんなことをつらつらと考えていると、満を持して主役が運ばれてきた。