週末に鑑賞。
ずっと見たかった映画…「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」だ。
ハリウッドきっての名優、メリル・ストリープとトム・ハンクスの初共演作品。しかも、その監督が、スティーブン・スピルバーグ。
それだけで面白さは保証されたようなもの。
テーマも、 アメリカで実際におきた機密文書流出事件を題材に作られたということで、スリリングな展開が予想され、それは僕の大好きなテーマだった。
ということで、公開以降、すぐに見に行くつもりだった。
が…ここしばらく落ち着かない生活が続き、なかなかそれが叶わなかったので、ようやく実現して嬉しい。
物語の舞台は、1970年代初期のアメリカ。
そこで起きた、とある政治的スクープを巡る、新聞社のドラマだ。
ペンタゴン・ペーパーズと呼ばれる、政府の最高機密文書流出に伴う、「ニューヨーク・タイムズ」紙と「ワシントン・ポスト」紙のスクープ合戦が主となっている。
ベトナム戦争への関わりを中心に描かれるため、当時の世界情勢や、政治的背景をしっかり意識していないと、ドラマの本質をつかみ取るのが難しくなってくる。
しかし、そこは流石スピルバーグ。地政学に疎い僕でも、しっかりと理解できるように描いてくれていた。
この作品が、(なんと)21度目のオスカー候補作となるメリル・ストリープは、「ワシントン・ポスト」紙の女性経営者を演じた。
バリバリ大手の「ニューヨーク・タイムズ」紙に対し、当時は、ローカル紙に過ぎなかった「ワシントン・ポスト」ゆえに、いや、だからこそ、このドラマは成立したのだと思う。
メリル・ストリープは、女性経営者としての貫禄と葛藤が要求される難しい役どころだったが、それを見事に演じきっていて、僕は何度も唸った。
トム・ハンクスは、「ワシントン・ポスト」紙の編集主幹。権力や困難に立ち向かう豪腕編集長役だ。
どう考えても嵌まり役だと思ったし、実際、見事にそれを見せつけてくれた。
この2人は、「仕事上で」鉄壁のパートナー関係を築き上げており、その信頼感があるからこそ、このスクープが、物語が、成立したのだと思う。
安っぽい大人の恋愛ドラマに成り下がっておらず、最後の最後まで緊張感を保って見ることができるのもいい。
これは、1970年代が舞台の映画であるけれど、新聞社と政府を巡る物語という点で、現代のアメリカという国を意識せずにはいられない。
現状、トランプ政権と新聞社の関係は最悪だと思えるからだ。
そんな状況の中、この映画が誕生したのは、決して偶然ではない、筈。監督がスピルバーグだから、尚更そう思う。
この作品は、オスカー作品賞にもノミネートされている。
それは、ハリウッドからの、現政権に対する警告メッセージだと考えるのは、深読みが過ぎるだろうか。
パンフレットも、もちろん購入。
長い階段を上っていく、ハリウッドきっての名優2人。とても素敵な構図だ。
印象的な写真の数々に加えて…。
当時の舞台背景などに関する裏話や記事が満載。
それを読んでみると、さらに、この事件の重みとスクープの凄さがわかる。
メディア化されたら、もう一度、じっくり鑑賞したい映画だ。
ペンタゴン・ペーパーズ 「キャサリン・グラハム わが人生」より
- 作者: キャサリン・グラハム,小野善邦
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2018/03/23
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