8月11日。山の日。
一昨年から、新しく生まれたこの祝日。僕は、有意義に過ごしたかった。
2016年は、休日出勤となってしまった都合で、山を断念。
無理矢理、(僕にとっては)「川の日だ!」と理屈をつけて、荒川河川敷ランを断行。
昨年、2017年は、休むことができたので、足柄峠へ。
この日は、気温が急降下した日で、夏とは思えないほど快適な気象条件(20℃)だった。
時折小雨もぱらついたけれど、呼吸が楽になる分むしろプラスで、絶好の峠走日和。
しかし、僕はそんな好条件にも関わらず、思ったように走れなくて嘆いた。
振り返ってみると、僕の身体は、この頃から、座骨神経痛が悪化しはじめていたのかもしれない。
そして、今年の山の日。
僕は、あいにく午前中が休日出勤になってしまったため、いったん峠走は諦めた。
暑い日だったということもあり、夜明け前、出勤前に川でも走って、お茶を濁す…つもりだった。
しかし。
ここで僕はハタと考えた。ここで、いつものように夜明け前に走ると、マイペースでたらたらと走るだけに決まっている。
距離こそ稼げるかもしれないが、ろくな練習にはならない。
北海道マラソンまで、あと2週間。
東京マラソン以来6ヶ月ぶりの実践が迫っているのに、そんな状況でいいのだろうか?と自問した。
先月以来、僕は、20km超のロングランができていない。スピード練習はそもそも苦手で嫌いなので、未実施。
さらに…暑い時間を避けて走っているため、暑熱馴化も不十分。
何から何まで不安だらけだったのである。
そんな思いに苛まれた挙げ句、僕は、突然気がついた。不安を一気に解決する方法があるじゃないか、と。
そう。
午前中の休出後に、灼熱の足柄峠走へ行くこと、だった。
峠走は、ロングラン練習とスピード練習を同時に行うことができるというメリットがある。
さらに、午後の一番暑い時間に走れば、必然的に暑熱馴化にもなる。
まさに、一石三鳥の峠走トレーニング。ならばこれは、行くしかない!と決意した。
ということで、仕事を終えて猛ダッシュ。何回も電車を乗り継いで…。
僕は、峠走の麓、山北鉄道公園に佇んでいた。
SLに見送られながら、いざ、出発!
…したものの、僕は、自分の考えが大いに甘かったことを思い知る。
いやはや、どうにもこうにも、暑い。暑すぎるのだ。
僕は、いつも山北を走る時は、早朝ばかりだったので、これほどの暑さは未経験。
暑さ、プラス、激しい傾斜で、僕の心は何度も折れそうになった。
9km地点。なんと気温は30℃に達していた。
ここまでずっと上り続けてきて、さらにここから、傾斜が急になるというのに、この気温。地獄だ。
雲は多かったものの、強い日差しがガンガン照りつけていたので、体感温度は30℃どころではなく、僕は、本当にここで引き返そうとも思った。
しかし、と、僕はここでも大いに自問した。
ここで戻ったら、ロングラン練習にならなくなってしまう。一石三鳥が実現しない。折角、仕事帰りに2時間以上かけてここまで来たことが無駄になる。それでいいのか。
そんな思いを自分に言い聞かせ、気力を振り絞って、僕は上り続けた。
頭はクラクラで、走っているより歩いている方が多くなった。果たしてこれで練習になっているのかどうか、大いに疑問を感じつつ、それでも何とか…。
山頂、足柄万葉公園に到達!
僕の意識と連動するかのように、写真もボケボケ。朦朧状態になってしまっている。
ここに辿り着くまでずっと、激しい日差しが照りつけていたというのに…。
山頂は、雲だらけ。
晴れていればくっきり見える富士山は、影も形も確認できなかった。
実に皮肉なことに、下りの道中になると、日差しは雲の後ろへ姿を潜めていた。
あぁ、上りと下りの天気が逆だったらなぁ…。と、僕は大いに嘆いた。
峠走の下りは、傾斜に任せて駆け下りるだけなので、たとえ日差しがあっても、上りほどは苦痛にならないからだ。
しかし、そんなことを嘆いても無意味。
僕は、厳しい上り坂と日光に苦しめられた身体を覚醒させるべく、ひたすら無心で峠を下っていった。
スピード不足の僕にとって、下りの練習はとても重要で、今回も自分なりに頑張ったが…ダメだった。
激しい下り坂であるにも関わらず、道中で、1度もキロ4分を切ることができなかったのである。
上りも、そして下りも鬱積だらけで、僕の「山の日」峠走が終わった。
峠走後。
いつものように、「さくらの湯」につなりながら、僕は気分を切り替えた。
一石三鳥…だった筈の練習は不本意な結果に終わってしまったけれど、ならばせめて、「アフターラン」を堪能しよう、と。